
公開日2025/08/29|最終更新日2025/08/29
社葬は企業への発展に尽力した方や功績を残した従業員が逝去された際、会社が施主を務めて行うご葬儀のことです。社葬では企業側が施主、ご遺族側は喪主を務める形を取るのが一般的です。施主はご遺族の喪主と連携を取りながらも、ご葬儀の運営や支払い、税務処理などをサポートします。
そこで当記事では、社葬の責任者を任された場合、会社として用意する香典返しに焦点を当て、税務上の取り扱いについても合わせてご案内していきます。
社葬にかかる費用のうち、葬儀社への手数料や会場費、会葬御礼、飲食代、お布施といった支出は「法人の経費」として処理できます。
一方で、香典返しは経費として認められません。ちなみに、戒名料、社葬以外の法事費用、墓地の購入費用なども、経費として認められます。もし会社がこれらを負担すれば、法人税法上は損金算入できず課税対象となり、さらに香典返しを行えば「会社からご遺族への贈与」とみなされ、贈与税が生じる可能性があります。
このような税務上のリスクを回避するため、企業が香典返しを用意することはほとんどありません。
実務上は、香典自体を受け付けない方針を取る企業があります 。仮に受付で香典を受け取った場合も、会社の収入とせず、名簿とともにご遺族にそのまま引き渡す対応が一般的です。
こうした対応により、会社の「雑収入」として計上されることを避けられ、課税リスクも回避できます。さらに香典返しがご遺族に任されるため、企業側の追加費用も発生しません。
会社として香典を辞退したとしても、社葬に香典が持ち込まれるケースもあります。この場合を想定し、あらかじめご遺族が受け取れるよう手はずを整えておいても良いでしょう。
また、企業の受付で香典を一時的に預かり、名簿と共に香典をとりまとめご遺族が直接受け取った扱いとしてご遺族へお渡しします。このように、会社の収入とならないよう工夫が必要になります。
社葬の際、主催した企業が参列された方々へ礼状を渡します。礼状とは、香典や供花、お供え物の有無にかかわらず、参列した全ての方に感謝の気持ちを伝えるためのお礼状です。参列者の方にはさまざまな方法でお渡ししますが、渡し方や渡すタイミングは企業によってさまざまとなっています。
【礼状の渡し方】
①最初の受付でお渡しする
②社葬時、または社葬後、会葬御礼と共にお礼状も渡す
③社葬後すぐに郵送する
礼状には、社葬が無事に終わったことの報告、参列への感謝、そして今後も変わらぬお付き合いをお願いする旨を記します。
以下、礼状の基本文例です。
※基本縦書きです。句読点は入れず、忌み言葉に注意しながら記載しましょう。
拝啓 弊社 代表取締役会長 鈴木○○儀 社葬に際しまして 公私共御多忙中にもかかわらず
御会葬をいただきました上 御鄭重なる御弔慰を賜り 御芳志のほど厚く御礼申し上げます
生前に故人が賜った温かな ご厚意に深く感謝いたしますとともに
今後も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
略儀ながら書中をもちまして謹んでお礼のご挨拶とさせて頂きます 謹白
令和○年○月○日
○○株式会社
葬儀委員長 高橋○○
取締役社長 飯田○○
喪 主 鈴木△△
外 親戚一同
香典返しは、香典を受け取ったご遺族が四十九日を過ぎてから1か月以内に準備し、郵送で送るのが基本です。
社葬では参列者の数が多くなるため、企業側が参列者名簿を作成し、ご遺族に渡しておくと作業がスムーズに進みます。
社葬の香典返しは、ご遺族の方が用意して送る場合もご遺族の名字、あるいは喪主のお名前でお送りすることになります 。企業側が香典を頂いて香典返しをする行為は税務処理 が必要となります。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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最終更新日2022/03/11