2020-03-19
日本では、人が亡くなるとほとんどの場合ご遺体を火葬します。火葬の後、ご遺骨を拾い骨壺に収めますが、これを「ご収骨」と呼びます(拾骨、骨上げ、骨拾いとも呼ばれます)。ご収骨の際の流れや作法は、地域によって違いがありますが、基本的なことを知っておけば、いざという時に困ることはないでしょう。また、分骨をしたい場合には、どのような手続きをすればよいのでしょうか。
そこで今回は、ご収骨の流れと作法、そして、分骨を希望する際の手続きについてご紹介いたします。
ご収骨(拾骨、骨上げ、骨拾い)は、火葬後にご遺骨を箸(御骨箸)で拾い骨壺に収めますが、これは「箸渡し」と同音の「橋渡し」をかけています。
日本では古くから、あの世へ行く際に三途の川を渡らなければならないと考えられています。この三途の川を渡るための橋渡し(手助け)をするという意味から、ご収骨の際に箸が使用されているのです。
火葬が終了すると係員からの案内がありますので、その指示に従い、収骨室に向かいます。故人様のご遺骨が骨上げ台に運ばれていますので、ご遺族、親族の皆様でご遺骨を囲みます。その際、喪主が骨壺を持ち、お骨の頭側に立つようにします。
係員から御骨箸を受け取り、喪主からご収骨を始め、ご遺族、親族といった故人様から近しい関係にある方から二人一組になり順番にお骨を拾います。
地域によってはご遺骨の拾い上げの仕方が異なり、足の骨から順番に頭の骨に向かって拾っていき、最後に故人様と最もご縁が深かった人が喉の骨を拾い上げ、骨壺に収めます。
どのくらいの量を骨壺に収め、どの骨を拾えばよいかなどがご不安な方は、係員が教えてくれますので、それに従ってご収骨を行いましょう。
ご収骨が終わった骨壺は、係員の方が蓋を閉め箱に入れ風呂敷に包んで喪主に手渡してくれます。その際、埋葬許可証も骨壺が入った箱に一緒に入っています。「埋葬許可証」は、ご遺骨をお墓などに納骨する際に必要な書類になりますので、紛失しないように気を付けましょう。
骨壺を受け取って火葬場を後にする際は、骨壺を喪主が持ち、他の親族が位牌や遺影をそれぞれ胸の高さで抱えます。
ご遺骨が家に戻ったら、ご遺骨や位牌、遺影などを後飾り祭壇に安置し、灯明(とうみょう)をともして線香をあげ、これをもってご葬儀が終了となるのが一般的です。なお、自宅にて「還骨法要」(宗派によっては「還骨勤行」)と呼ばれる読経を行い、読経をあげ終わったら喪主から順に焼香を行うこともあります。
ご収骨では、ご遺骨を落とさないように注意することが大切です。しかし、ご収骨は日常的に行うようなことではないので、ご遺骨を誤って落としてしまうこともあるかもしれません。このような時でも、慌てることはありません。火葬場の係員の指示に従ってやり直せば問題ありません。
ご遺骨の一部を自分の身近で供養するために手元に置いておきたい、親族間で複数のお墓に納骨したいなどという理由で分骨をしたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
分骨は勝手に行うことはできません。なお、お墓に納骨した後でも分骨は行えますが、手続きが少々複雑になってしまいますので、前もって分骨を行うことが分かっている場合は、葬儀社に分骨したい旨を伝えましょう。そうすると、必要な手続きを代行してくれるほか、分骨用の骨壺を用意してもらえますので、ご収骨の際に分骨用の骨壺にもご遺骨を収めます。
また、お墓に納骨する際、分骨したご遺骨であることを証明するために「分骨証明書」が必要になりますので、忘れずに火葬場でもらうようにしましょう。
ご収骨は故人様を想い行われる、日本特有の大切な儀式です。
ご収骨は多くの場合、ごく限られたご親族や友人のみが参加するため、これまでご収骨を経験したことがないという方も少なくないと思います。そのため、ご収骨の際に戸惑うこともあるかもしれません。
亡くなった方のことを想いながらしっかりと送り出せるように、ご収骨の基本的な手順と作法を事前にきちんと理解しておきましょう。地域によって、ご収骨の作法や手順は違うことがありますので、ご心配な方はご親族やご年配の方に尋ねるのもよいでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
故人様が亡くなった際は、ご家族は死を悼み喪に服す期間を1年間程度設けます。喪中では、ご家庭や地域、宗教により慶事に対してさまざまな制約を課されるのが一般的です。特に年間で最も賑わうお正月にあたり、お子様に渡すお年玉に対して、どう対処すべきか悩むこともあるかもしれません。 そこで今回は、喪中におけるお年玉の取り扱いやマナーについて解説していきます。
身内の方に不幸があった年は、そこから1年間が喪中となります。喪中期間中は、さまざまな慶事や祝い事に参列できなくなります。ただし、年末年始における対応は滞りなく行うことが、日本における古くからの一般的な慣習となっているのです。そこで今回は、喪中期間のマナーやはがきの書き方、例文をご案内していきます。
香典返しが届いたら、お礼の連絡が必要か迷ったことはありませんか?基本的にはお礼やお返しは必要ありませんが、お付き合いの程度によっては、返礼品が届いたことを伝えた方が良い場合もあります。 こちらでは、香典返しをいただいたときのマナーや対応、香典返しの到着を伝える際の注意点を含め、手紙やメールを送る際の例文をご紹介いたします。