2023-12-08
故人様が亡くなられた際には、通夜やご葬儀、さらには後日の法要など、さまざまな儀式を行うことになります。宗派によってはその内容や呼び方、方法はそれぞれ異なりますが、故人様のご冥福を祈るという目的は変わりません。
火葬の後で行われる「還骨法要」は、儀式の簡略化が進む昨今では耳慣れない仏事ですが、故人様のご供養に際して重要な法要の一つです。本記事では、還骨法要の内容に加え、儀式の流れをご紹介いたします。
お通夜やご葬儀、告別式を経た故人様のご遺体は、火葬場へ搬送されてご遺骨になります。次に、ご遺骨になった状態の故人様が自宅へ戻ってきたところで、供養するために行う儀礼が「還骨法要」です。
なお還骨法要は、還骨勤行(かんこつごんぎょう)、または安位諷経(あんいふぎん)とも呼ばれています。呼称が変わる理由は、宗派の違いによるものです。勤行や諷経には、それぞれ読経の意味が込められています。
火葬場で骨上げが行われ、故人様が骨壺に納められると、その後は自宅へと戻されます。自宅へ到着したご遺骨は、後飾り祭壇(あとかざりさいだん)へ、位牌や遺影と共に安置され、僧侶が読経を行って供養するのです。こうして、その場にいるご遺族と共に、故人様のご冥福をお祈りする還骨法要が執り行われます。
なお、後飾り祭壇とは、ご遺骨を一時的に安置するための祭壇で、地方によっては「後飾り」「自宅飾り」「中陰壇(ちゅういんだん)」とも呼ばれます。大きさは50~60㎝程度の小さな飾り壇で、自宅へ設置しやすい大きさです。
後飾り祭壇は、四十九日法要まで故人様を偲ぶためご遺骨を祀るものであり、還骨法要のためだけに用意されるものではありません。したがって、葬儀場で還骨法要を済ませてしまう場合でも、自宅には後飾り祭壇を用意する必要があります。
還骨法要を執り行う一番の目的は、ご遺骨になり自宅へ戻ってきた故人様をご供養することです。なお、この世の勤めを全て終えた故人様が、火葬によって骨に還ることを「還骨」といいます。したがって、ご遺骨になった故人様を供養する儀礼は還骨法要と呼ばれ、この法要を以って、全てのご葬儀が終了するのです。
還骨法要を行うタイミングは、火葬した後です。自宅や寺院、葬儀場で厳かに執り行われます。葬儀社へご葬儀を依頼した場合、一連の流れの中に還骨法要が組み込まれている場合が多いので、当日はスタッフの指示に従いながら法要を行いましょう。
また、地域によっては還骨法要を行わないまま、骨壺が直接埋葬される場合もあります。どういった形でご供養や埋葬が行われるのか、事前に確認しておくと安心です。
仏教には、故人様が亡くなってから7日ごとにご供養を行うという教えがあります。その最初の7日目に行う法要が「初七日法要(しょなのかほうよう)」です。
このように、本来ならば亡くなってから7日目に初七日法要を行うのが正式なのですが、忙しい現代の人々が再びご供養のため7日後に集まるのは難しいため、ご葬儀や告別式の当日に初七日法要を繰り上げて行うことが多くなりました。これは、「繰り上げ初七日法要」と呼ばれています。
また、ご葬儀や告別式に引き続き、火葬場へ向かう前に初七日法要を行う「繰り込み初七日法要」という方法もあります。繰り込み初七日法要では、ご遺骨に対して行う読経を、ご遺体の状態で行うのが通例です。したがって、地域や宗教によっては、許可が下りない場合もあるため注意が必要です。
なお、ご供養に別日程を設けることが難しいという理由においては、還骨法要も例外ではありません。結果として、ご葬儀と還骨法要、そして初七日法要は、同じ日に執り行われるのが一般的となっています。ただし、いずれかの方法に決定する際は、地域や菩提寺の意見も視野に入れておくことが大切です。
初七日法要を済ませてしまった後だとしても、本来の初七日ではご自宅で故人様にご焼香を行い、改めてご冥福をお祈りしましょう。
次に、還骨法要を行うための手順を確認していきます。地域や宗派によって、内容に多少の違いがありますが、ここでは一般的な流れをご説明いたします。
火葬場でご遺骨となった故人様に向けて、還骨法要を行います。法要の会場は、主に葬儀場や寺院、ご自宅などです。
会場となる場所には、白木の仮位牌やご遺骨、遺影を安置するための後飾り祭壇を用意しますが、設置は出棺後に行うようにしましょう。ご自宅の場合は留守役の方、葬儀場や寺院の場合は葬儀社のスタッフの方にお願いしておきます。
火葬場へ行った方々は、会場へ入る前に塩と水でお清めを行います。これは、死の穢れを外部から持ち込まないための作法です。室内に用意された桶で両手に水を掛け、足元や肩に塩を振ってから建物の中へ入ります。
用意された後飾り祭壇に、火葬場から持ち帰った白木の仮位牌やご遺骨、そして遺影を安置します。
次に、僧侶が読経を行い、故人様の御霊を供養してもらいます。
僧侶が読経を終えたら、次に焼香を行います。僧侶から指示を受けたら、ご遺族が順番に焼香をあげていきます。喪主を筆頭に、血縁の濃い順で行いましょう。会場がご自宅の場合、ここで還骨法要は終了となります。
先程もお伝えしましたが、ご葬儀と還骨法要、そして初七日法要は、同日に同じ場所で執り行われることが一般的になっています。その場合は、葬儀場で還骨法要が行われた後、そのまま初七日法要が繰り上げで行われるのが通例です。
ご葬儀や告別式、還骨法要、初七日法要を一日で全て行えば、ご遺族の負担が軽減されます。
近年では、多くの方が葬儀場で還骨法要を行っています。全ての儀式を終えたら、会場から位牌やご遺骨、遺影を持ち帰り、ご自宅の後飾り祭壇へ安置します。
仏教の教えでは、忌明けを意味する四十九日法要を迎える前の故人様は仏様とみなされないため、位牌とご遺骨、遺影を仏壇へ安置できません。したがって、 自宅に後飾り祭壇を設置し、故人様をお祀りしましょう。
※宗派により異なります。
なお、この期間に自宅に弔問客が訪れた際は、後飾り祭壇へお参りしていただくことになります。
では、還骨法要が行われる場合、お布施や香典はどのように包めば良いのでしょうか。ここでは、還骨法要における、お布施や香典の一般的な考え方をご説明していきます。
ご葬儀に関するお布施は、お通夜やご葬儀、告別式、還骨法要の分をまとめてお渡しするのが一般的です。ご葬儀における一連の儀式で、僧侶にお渡しするお布施の相場は150,000~300,000円ほどとなっていますが、地域や宗教によって異なります。
金額を決める際は、地域の年長者の方、または葬儀社のスタッフへ相談してみると良いでしょう。
香典に関してもお布施と同様で、還骨法要の分として用意する必要はありません。還骨法要は、あくまでご葬儀の儀式の一つとして考えます。なお、同日に初七日法要があっても考え方は同じであり、香典はご葬儀一連の分として用意すれば問題ありません。
後飾り祭壇は、四十九日まで故人様を祀るための大切な祭壇です。したがって、設置場所には気を配る必要があります。
場所は仏壇の傍らが基本ですが、仏壇がないお部屋の場合は、北側か西側に設置するようにしましょう。ご家族がお参りしやすい場所へ置くことが大切ですが、ご遺骨を痛めないためにも、水回りや紫外線の強い場所は避けるようにします。
後飾り祭壇は、上段に位牌・ご遺骨・遺影、下段に香炉・鐘・お供え物・供花・ろうそく台・仏飯・お茶(水)を安置します。仏飯とお茶(水)は連日取り換え、お供え物の果物や菓子は傷む前にご家族でいただきましょう。また、生花は枯れる前に新しい花へ活け替え、毎日お線香を絶やさないようにして、ろうそくにも火をともします。
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