2021-01-22
大切な方の遺品を供養するために行う儀式を「お焚き上げ(おたきあげ)」と言います。お焚き上げは、宗教的にも認められている立派な供養方法であり、日本全国で行われていますが、お焚き上げについて詳しく分からないことも多いと思います。
そこで今回は、お焚き上げの意味やお焚き上げが必要なもの・できないものなどについてご紹介します。
お焚き上げは、故人様が生前に大切にされていた遺品や粗末に扱うことができない品物などを神社やお寺で供養していただいた後に焼いて天に還す宗教儀式になります。
お焚き上げに関しては神道と仏教で解釈が異なり、神道が「火の神様の力を借りて思い出の品を焚き上げて『天に還す』儀式」を指すのに対し、仏教では「思い出の品を焚き上げて『故人様に返す』儀式」を指します。
教義によって若干の違いはありますが、「魂が宿っているものを宗教儀式に則って供養し、炎と共に処分する」という点は、どちらの宗教でも同じとなっています。
お焚き上げを行うことで得られる効果には様々なものがあります。以下で、それらの効果についてまとめましたので、ご参照ください。
故人様に対してこの世の品物を届けたい場合や納棺の際に入れ忘れてしまった品物がある場合、お焚き上げすることによってその品物を故人様に届けることができるとされています。
お札やお守りは効果があるとされている期間を過ぎると、神社で焚き上げを行って新しいお札やお守りをいただくのがマナーになります。
これは、神社でいただいたお札やお守りに入っている神仏のご神体がお焚き上げを行うことで元の場所に戻っていただけるとされているからです。
ご自身に悪いことが起きた時には、その悪いことと関連している品物をお焚き上げすることで縁を切れます。悪い縁を切ることで、徐々に良い縁が増えていくとされています。
動物の毛皮を使用した衣類や小物をお焚き上げすることで、その動物たちの苦しみや痛みを慰めて供養することができるとされています。
撮影した写真に霊が映り込んだり、人形やぬいぐるみなどからなんとなく不穏な空気を感じるといったように、ご自身によくないものが取り憑いたと感じた時にその原因と考えられる品物をお焚き上げで供養できます。
周囲の方々がご自身のために祈願してくれた「合格祈願のお札」や「入院中にいただいた千羽鶴」などの品物は、お焚き上げを行うことで感謝の気持ちを伝えられます。
お焚き上げでは、「お焚き上げが必要なもの」と「お焚き上げができないもの」があります。故人様の思い出の品であればなんでも問題ないというわけではありませんので、以下で見ていきましょう。
・仏壇仏具や神棚
・人形やぬいぐるみ
・お守り
・写真
・達磨(だるま)
・パソコンなどの精密機械
・ビニール製品
・プラスティック製品
・ガラス製品
・引火性があるもの
・有害物質が発生する危険物
「お焚き上げ」と聞くと、お正月が明けた1月15日前後に行うイメージを持っている方が多いかと思いますが、この時期に行うのは「どんと焼き」と呼ばれる行事であり、主にお正月で使用した松飾りやしめ縄などを焼く行事になります。
それでは、故人様の思い出の品や遺品を供養するお焚き上げはいつ行うのでしょうか。
実は、お焚き上げを行う期間に厳密な決まりはないのです。そのため、お焚き上げが必要だと感じた際や故人様の死と区切りをつけたい思った際に行うのが一般的とされていますが、近年では「四十九日法要」や「一周忌法要」などを目安に行われる方が増えています。
お焚き上げを行いたいと思っても、どこに依頼すればよいのか分からない方も多いと思います。
お焚き上げを行ってくれる場所には大きく分けて2か所あり、「神社やお寺などの宗教施設」と「遺品整理やお焚き上げを専門としている業者」に分けることができます。
神社やお寺にお焚き上げを行うことで、ご利益にあずかることができるだけでなく、費用を抑えることができます。ただし、お焚き上げをしていただく品物によっては受け入れてもらえないものや受付している時期が限られていることがあります。
遺品整理やお焚き上げを専門としている業者にお焚き上げを依頼する場合、神社やお寺などで断られてしまった品物でも受付ていたり、比較的長く対応してくれます。ただし、神社やお寺などと比べてしまうと料金が割高になることがあります。
お焚き上げは、「捨てにくい品物を処分するための廃棄方法」ではなく、「教義に従って行われる宗教儀式」になります。そのため、故人様を偲び、感謝の気持ちを込めて行うことが大切です。
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