
公開日2022/12/02|最終更新日2022/12/02
通夜の際、ご遺族に目覚ましとして夜食を渡すのは、熊本県をはじめとする九州地方を中心に残っている風習です。香典とは別の目的や役割があり、忘れてしまうと故人様やご遺族への失礼にあたる場合があります。
今回は意味合いやマナー、費用相場を中心に、通夜の目覚ましについて解説します。風習の残っている地域の通夜に参列する方は、故人様やご遺族の失礼にならないように注意しましょう。
通夜目覚ましは、九州地方の一部地域で残っている風習です。これは、通夜の際にご遺族が眠ってしまわないよう、目覚ましを兼ねて夜食を渡すというものでしたが、現代では相場に合った金銭をご遺族に渡すのが一般的になっています。
通夜目覚ましには、主に下記3つの意味があるとされています。
・ご遺族が目を覚まし線香を絶やすことなく過ごしてほしい
・故人様がもう一度目を覚ましてほしい
・故人様の死を通じて仏法の目覚めにつながる
3つの意味について、次項で詳しく解説していきます。
ご遺族は、故人様の極楽浄土の旅が無事に終わるよう、通夜の間は線香を絶やさないようにしなければなりません。しかし、途中で睡魔に襲われてしまい、線香の火が消えてしまうことも少なくありません。このようなことがないよう、「きちんと見守れることができますように」と気持ちを込めて渡すといわれています。
故人様を失った悲しみや喪失感は、簡単に受け入れられるものではありません。気持ちを整理するのにも長い時間が必要です。このようなご遺族の気持ちを配慮し、もし願いが叶うのであれば、故人様が目を覚まし、できることなら生き返ってほしいとの願いを込めて通夜目覚ましを渡すともいわれています。
仏教には、ご遺族が故人様の死を悼み、極楽浄土への往生を願うことで仏様とのご縁につながるという考え方があります。そのため、通夜目覚ましを行うことは仏法への理解が深まることと同義で、「仏法の目覚めにつながる」ともいわれています。
目覚ましの相場は1,000~3,000円で、香典のように数万円単位の大きな金額を包むことはありません。菓子折りやお酒などの品物を渡す場合も、1,000~3,000円程度の品物を渡します。
菓子折りは、生ものや冷蔵が必要なものなど日持ちしないものは避け、せんべいや羊羹などを渡すと良いでしょう。また、個包装になっているタイプだとご遺族で分けやすく、より親切な印象になります。
地域や寺院によって少々異なるものの、目覚ましには下記のようなマナーがあります。
・不祝儀袋に包む
・表書きは「御目覚まし」と書く
・袱紗に包んで持参して受付で取り出して渡す
ご遺族に余計な負担をかけないよう、正しい方法で目覚ましを準備しましょう。
ご遺族に金銭を渡すときは、直接渡さず不祝儀袋と呼ばれる封筒に入れて渡すのがマナーです。不祝儀袋には、実際に水引が結ばれているものや、水引が印刷されているものがあり、金額によって使い分ける必要があります。
たとえば、5,000円以下なら印刷されているタイプ、10,000円以上なら実際に水引が結ばれているタイプを選ぶのが基本です。目覚ましは多くても3,000円程度のため、水引が印刷されているタイプを使います。また、水引は黒白のものが適切です。
不祝儀袋の表書きには「御目覚まし」と書きます。地域によっては、「お目覚まし」「お目覚まし料」「御目覚まし料」などと書く場合もあります。参列する地域でどのように書くのか、事前に確認しておくと良いでしょう。
なお、表書きには「涙で墨がにじんでしまった」「突然のことで墨を準備できなかった」など悲しみの気持ちを表現するため、薄墨を使用するのが適切です。
袱紗に包んで持参し、受付に渡します。包む袱紗の色は、紺色や藍色などの寒色系かグレーや茶色など落ち着いた色合いのものを選ぶのが一般的です。このとき、「目覚ましです」と一言添えて渡すと、香典と混同してしまう心配がないでしょう。
また、目覚ましではなく香典を先に渡すのがマナーなので、逆にしないよう注意が必要です。受付が別で設けられている場合もあるため、間違えないよう事前に確認しておきましょう。
同じ袱紗に香典と目覚ましを包んでも問題ありませんが、ご遺族に渡す目的や役割は異なります。同じ袱紗に包んだとしても、不祝儀袋は別々のものを準備しましょう。
目覚ましは、九州地方の一部地域に残っている風習で、昔は現金ではなく夜食を渡していました。一般的な香典のように、大きな金額を包んでご遺族に渡すものではありませんが、さまざまな願いが込められた大切な風習として今でも残っています。目覚ましのことで悩まないようにするためにも、不安な方は今回ご紹介した内容を見直し、大事なポイントを押さえておくようにしてください。
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