2025-02-14
日本の夏の風物詩であるお盆では、この世を去ったご先祖様や故人様の御霊が戻ってくる唯一の時期です。お盆の時期には、さまざまな行事やお墓参り、そして法事が執り行われます。
御霊の迎え方、考え方は地域や宗派により異なりますが、祖霊を敬いご供養する気持ちは同じです。本記事では、お盆の法要に焦点を当てて、服装やお布施のマナーについて解説していきます。
お盆とは、ご先祖様や故人様の御霊が年に一度だけこの世に帰ってくると信じられている期間であり、ご自宅の飾り付けでお迎えしたり、お墓参りをしたりしてご供養を行う伝統的な風習です。
地域やご家庭によっては、お盆に僧侶を招いて法要を行う盂蘭盆会(うらぼんえ)、または歓喜会(かんぎえ)が行われます。言い回しの違いは、宗派の考え方によるものです。
即身成仏(そくしんじょうぶつ)の教えを説く浄土真宗では、故人様が亡くなった直後に阿弥陀如来様の導きで即仏様になるといった教えがあるため、霊の概念がなくご供養は必要ありません。ただし、仏になった故人様や阿弥陀如来様を敬い祈る心を大切にしているため、仏様との縁を喜ぶ会としてお盆に歓喜会(かんぎえ)が開かれるのです。
また、お盆を迎える度に棚経(たなぎょう)をお願いし、菩提寺の合同法要に参列する地域もあります。お盆は僧侶にとって非常に忙しい時期なので、もし棚経や法要をお願いしたい場合は1~2ヶ月前を目安に予約しておくと良いでしょう。
初盆(はつぼん、ういぼん)は故人様が亡くなってから初めて迎えるお盆のことで、地域によっては新盆(にいぼん、あらぼん、しんぼん)と呼ばれ、通常のお盆よりも手厚く供養されます。
お盆を行う時期は主に8月ですが、1ヶ月の前倒しで7月に行う地域もあり、そのお盆を7月盆または新盆といいます。故人様が初めて迎える意味の新盆(初盆)とは異なる意味なので、混同しないよう気をつけましょう。
初盆では、初盆法要を行います。ご親族の方や親しかった方をお迎えし、僧侶に読経をお願いして焼香し、お墓参りや会食で故人様を偲びながら手厚くご供養を行います。
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続きを読むお盆の時期に、忌日法要や年忌法要をしてはいけないという決まりはありません。ただし、この時期は寺院が忙しい期間であるため、法要を断られてしまう可能性もあります。
忌日法要は故人様が亡くなってから7日ごとに行う法要で、特に有名なのは初七日や四十九日です。一方の年忌法要は、故人様が亡くなってから数年ごとに行う法要で、一周忌と三回忌が代表的です。初七日や四十九日、一周忌が初盆と重なった場合は、法要を同時に行っても構いません。
一周忌と初盆の時期が重なった場合は、一周忌法要を優先して行うのが一般的です。ただし、地域やご家庭の考え、宗派によっては、忌日法要や年忌法要を初盆法要と合同で行ったり、月をずらして各時期に執り行ったりなど、方法はさまざまです。
どうすれば良いか分からない場合は、菩提寺や葬儀社などに相談してみましょう。加えて、後々のトラブルを防ぐためにも、特別な形式を取る場合は、ご親族との話し合いを交えてから決定するのが無難です。
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続きを読むここからは、2年目以降のお盆で行う法要や棚経、合同法要で僧侶にお渡しすべきお布施や服装マナーについて解説していきます。
お布施とは、先祖供養のために読経した僧侶へお渡しする謝礼金のことです。お盆で、法要や棚経、合同法要でご供養をお願いした際には、僧侶にお布施をお渡しするのが通例です。
通常のお盆法要で僧侶に包むお布施の相場は、5,000~10,000円程度です。加えて、別の封筒でお車代やお膳料も用意します。お車代の相場は5,000~10,000円程度、お膳料の相場は5,000~20,000円程度です。一緒に会食へお越しいただいた場合、お膳料は必要ありません。
また、僧侶に直接ご自宅へお越しいただく棚経を依頼した場合、3,000~10,000円がお布施の相場です。お盆の合同法要に参列される場合、お布施の相場は5,000~20,000円程度です。中にはお布施の金額を定めている寺院もありますので、事前に確認しておきましょう。
黒住の筆、または筆ペンと、白無地の封筒を用意します。表書き上段には「御布施」「御経料」と書き、下段には施主のフルネームもしくは「○○家」と記載しましょう。
中袋とは、紙幣を包み外袋の中にしまう白い封筒のことです。お札は折れ目のない新札を用意し、封筒の表側上部に肖像画がくるよう向きをそろえて入れましょう。
表側の中央には、旧漢字の縦書きで金額を記載します。3,000円であれば「金参阡圓也」、5,000円であれば「金伍阡圓也」、10,000円であれば「金壱萬圓也」です。
裏側の左下には、郵便番号や住所、電話番号、氏名を記載します。なお、住所には漢数字を用い、すべて縦書きで記入しましょう。
お布施を入れた封筒は、袱紗(ふくさ)に包みます。冠婚葬祭両用のシンプルな濃い紫がおすすめです。袱紗より一回り大きいくらいの切手盆(きってぼん)に乗せて、お渡しの寸前で袱紗からお布施を取り出します。
お渡しするタイミングは、法要の前後です。「本日はお忙しい中ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします」「本日は大変お世話になり、ありがとうございました」などと、感謝が伝わる一言を添えると良いでしょう。
初盆では喪服が基本ですが、2年目以降の法要であれば平服で構いません。平服といってもカジュアルな普段着とは違い、略礼服と呼ばれるシンプルかつフォーマル感のある服を選びます。
黒、暗いグレーの無地スーツ
シンプルなダークカラーのネクタイ
白い無地のYシャツ
黒の光沢のない革靴、靴下
黒、暗いグレーの無地スーツ
肌の露出が少ない黒、暗いグレーの無地ワンピース
薄手のストッキング
ヒールは3~5cmの黒い光沢のないパンプス
学生の方は、制服で参列されるのが無難です。合同法要や棚経においても、同様の服装で構いません。
お盆の法要や棚経は、ご先祖様や亡くなった方を偲びながら行う伝統的なご供養です。故人様への想いを形にすることで、残されたご遺族も穏やかにお盆の時期を過ごせるのではないでしょうか。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
夏の風物詩であるお盆は、現代でも広く知られている伝統行事です。お盆には縁日や花火なども盛んに行われるため、お祭りのイメージをもつ方が多いですが、一番の目的はあの世から戻る魂をご供養することにあります。 今回は、大切なご供養方法として行われる法事の一つである棚経(たなぎょう)の意味や由来、お布施、服装のマナーについて解説していきます。
お盆は、古くから伝えられている夏の伝統行事です。お盆は、ご先祖様や故人様の御霊が年に一度だけ戻ってくる大切な時期とされており、さまざまな場所でご供養が行われています。