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真言宗のお盆の迎え方|他宗派との違いや、用意するものを紹介

公開日2025/07/25|最終更新日2025/07/25

日本の伝統的な夏の風物詩「お盆」では、さまざまな飾り付けや行事によって、ご先祖様や故人様の御霊をお迎えし、心のこもった「おもてなし」をします。真言宗も例外ではなく、他の宗派と大きな違いはありません。ただし、宗派により教えが少しずつ違うため、お盆の機会にご自身の信仰する宗派がどのような点に重点を置いているのか改めて確認するのも良いでしょう。

この記事では、真言宗を信仰する方々がどのようなお盆を迎え御霊と向き合っていくのか、また、お盆ですべき行動についてもご紹介いたします。

真言宗でのお盆の迎え方

お盆とは、ご先祖様や故人様の御霊をお迎えして供養するために行われる、日本特有の伝統的な行事で、正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。

一般的な期間は8月13~16日の4日間で、会社でもこの期間を目安に夏期休暇が設けられる所は多いですが、地域によっては7月13~16日の4日間をお盆と定めている場合もあります。

お盆はご先祖様や故人様の御霊を敬い感謝する、大切な期間です。御霊を丁寧に迎えて共に過ごし、16日には惜しみながら御霊を送り出す流れが一般的です。真言宗も例外ではありません。ただし、真言宗では施餓鬼(せがき)法要に重点を置くことが特徴といえるでしょう。

なお、地域によって行事の内容や飾り付けの方法、お墓参りのマナーなどが少しずつ違いますので、周囲の詳しい方に確認しておくことが重要です。

他の宗派との違い

真言宗とは、弘法大師(こうぼうだいし)によって、9世紀の平安時代初期に開かれた仏教の宗派です。なお、弘法大師は死後に与えられた諡号(しごう)であり、生前は空海(くうかい)と呼ばれていました。

真言宗の基盤は「密教」です。大日如来をご本尊として崇め、過酷な修行を経た事による真理を悟る事を目標とします。この教えは師から弟子へと直接伝えられますが、中には公開されることのない内容も含まれているため、真言宗では真言密教とも呼ばれているのです。なお、密教は天台宗にも伝えられています。

真言宗の特徴の一つに、「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」という教えがあります。これは両親から譲り受けた肉体のまま仏の悟りを目指すものです。厳しい修行により「身密(身体)・口密(言葉)・意密(心神)」を大日如来と一体化させることで目的が達成されると説かれています。

これは真言宗の主たる特長ですが、こうした教えは、宗派ごとに異なる形で存在します。ただ、全ての宗派において共通しているのは、ご先祖様や故人様への敬いと感謝の心です。そのため、お盆でのお迎え方について、真言宗と他の宗派でさほど変わりはないといえます。

しかし例外として、浄土真宗の場合は「他力本願」との考えがあり、亡くなった方は阿弥陀如来の力によって死亡後に即、極楽浄土で仏になれるとの教えがあるため「御霊」の概念はありません。このように、浄土真宗におけるご先祖様や故人様はすでに仏様であると考えるため、お盆を「霊をご供養する期間」ではなく「仏様を敬う期間」とする違いがあります。

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真言宗のお盆で行うこと

真言宗におけるお盆も、追善供養の一環として行われます。追善供養とは、ご葬儀の後でも続けて行われるご供養のことで、年忌法要やお墓参り、仏壇へのお供えを行う事です。この行為により、御霊のご供養も進み、生きている方々が徳を積むことにも繋がると考えられています。

なお、お盆近くになってから慌てて用意するのではなく、お盆の月に入ったら少しずつ用意を進めておき、当日はゆったりと御霊をお迎えできるようにしておきましょう。ここからは、真言宗を信仰する方々がどのようなお盆を過ごされるのか解説します。

迎え火・送り火を焚く

お盆の入り(7月もしくは8月の13日)に、玄関前で迎え火を焚きます。これは、ご先祖様や故人様が迷わずにこの世へ戻ってこられるよう願いを込めて行われるものです。また、送り火はお盆明け(7月もしくは8月の16日)の夕刻に焚きます。これは、ご先祖様を敬い丁重にあの世へ送り出すための儀式です。

迎え火、送り火は、いずれも灯が目立ちやすい夕刻頃に行うのが一般的でしょう。なお、詳しい手順は以下の記事をご参照下さい。

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棚経をあげてもらう

真言宗のお盆期間においては、僧侶をご自宅にお招きし、棚経(たなぎょう)をあげてもらうご家庭が多いです。

【棚経とは】

菩提寺の僧侶をご自宅へお呼びし、仏壇や精霊棚の前でお経を読んでいただく法要

地域や菩提寺にもよりますが、棚経は1件で10~15分程度の時間を要するのが一般的です。また、故人様が亡くなって初めてのお盆、つまり初盆の場合は、予約の時点で初めて迎えるお盆だとお伝えしましょう。通常のお盆よりも念入りな読経を行っていただけます。

また、距離などの事情で自宅へお呼びする棚経が難しい場合は、合同法要へ参加する選択肢もあります。合同法要とは、寺院へ何組かの檀家が集まり一緒に読経してもらうお盆の儀式です。なお、合同法要に用いるお布施の相場は5,000〜30,000円程度が一般的と考えられています。

そもそもお布施は仏教で財施(ざいせ)という位置づけとなるため、お布施の額を決めるのは寺院側ではない、というのが基本的な考え方です。つまり、金額はお布施を渡す側の判断となるので、寺院へ金額の相談をすると「お気持ちで…」と躱されてしまうことが多いでしょう。

一方、寺院によっては、あらかじめお布施の額が一律で決められている場合もあります。ゆえに、金額について迷っている場合は棚経や合同法要の予約時に伺ってみても良いかもしれません。

お墓参りする

お盆にはあの世からご先祖様や故人様がお戻りになります。その時にお墓が荒れていると、あの世から戻った御霊を残念な気持ちにさせてしまうかもしれません。自他ともに気持ちよくお盆をお迎えするためにも、お墓掃除は数日前に済ませておきましょう。

お墓を綺麗にしたら、お盆の期間中に改めてお墓参りを行います。なお、詳しいお墓参りの方法や持ち物、期間については以下の記事に記載があります。是非ご参照下さい。

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施餓鬼法要へ参列する

真言宗のお盆では、施餓鬼法要が行われることも特徴の一つに挙げられます。施餓鬼法要とは、護摩を焚いて餓鬼道で苦しむ霊に施しを与え、救済する儀式が行われる法要です。真言宗では、施餓鬼法要によって災いを鎮め、ご先祖様と共に徳を積めるとの教えがあります。

真言宗では特に施餓鬼のご供養が重要視される傾向にあります。よって、お盆だけに留まらず連日に渡って施餓鬼をご供養している寺院もあるようです。

真言宗のお盆で用意するもの

真言宗のお盆でも、自宅に飾り付けを行い御霊をお迎えする準備を行います。ここでは、大切なご先祖様や故人様をお迎えするために、どのようなアイテムを用意すべきか確認していきましょう。

精霊棚

精霊棚とはお盆の飾り付けのために用いられる祭壇です。特に初盆で組み立てられることが多いですが、毎年精霊棚を組んで豪華に飾る方もいます。場所は仏壇の前か横です。もしスペースがない場合は、お仏壇自体を丁寧に整えるだけでも構いません。なお、詳しい飾り方は以下の記事をご参照下さい。

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精霊馬

野菜でこしらえた牛と馬で、お盆飾りには欠かせないアイテムが精霊馬です。キュウリでは馬を、ナスでは牛を作ります。それぞれがご先祖様や故人様の乗り物として用意されるのです。

なお、馬は早足なのでお迎え時に、牛はゆっくり歩くためお帰りの時に乗っていただきます。それぞれの野菜に4本足を刺しこみますが、割り箸を短く切ったものや、楊枝でも構いません。なお、精霊馬の作り方や詳細は以下記事をご参照下さい。

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盆提灯

盆提灯とは、お盆飾りに用いられる提灯です。精霊棚、もしくは仏壇の両脇に一対建てましょう。色々カラフルで美しい盆提灯が販売されていますが、初盆の提灯だけは真っ白な白提灯にします。なお、白提灯は初盆の時のみ使用してからお焚き上げなどで処分し、2年目からはカラフルな提灯を用います。

お供え物

真言宗のお盆では、盆花とお団子、そして精進料理が基本です。他の宗派では禁忌としているところもありますが、真言宗では故人様の好まれていた飲み物や食べ物、果物もお供えして構いません。

その他、精霊棚に張られた網やヒモに、ほおずきを逆さに吊るし「道しるべ」の役割をさせたり、お供え物やお飾りのお清めとして禊萩(みそはぎ)の葉を束ねて飾ったりします。

また、施餓鬼のご供養で、賽の目に切った茄子とキュウリ、洗米を混ぜて水に浸した「水の子」、お清めとして深めの皿に蓮の葉を敷き、綺麗な水を張った上から禊萩の花を5~6本束ねたものを置いた「閼伽水(あかみず)」を添えましょう。

なお、先に挙げた精進料理は真言宗特有のお供え物となります。詳細は以下の記事でご確認下さい。

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まとめ

仏教は宗派ごとに考え方や教えに違いがあるほか地域差もあるため、お盆の支度に戸惑う方も少なくありません。基本、飾り付けやお墓参りのマナーにほとんど違いは見られませんが、もしご不安な要素がある場合は、ご近所で行事に慣れている方や菩提寺の僧侶、詳しいご親戚にご相談なさっても良いでしょう。

何よりも、お盆の心構えとして大事なのは、ご先祖様や故人様を敬い大切に思う心です。そこへ正しい礼儀作法が伴うことで、ご供養やお参りに関する安心感がより増すのではないでしょうか。落ち着いた気持ちで、ご先祖様や故人様に対峙できるよう、当記事を少しでもお役に立てていただければ幸いです。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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