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香典返しをいただいたらお礼は必要?受け取り後の対応とマナーを徹底解説

公開日2019/07/12|最終更新日2026/07/31

お通夜やご葬儀に参列し、お渡しした香典。それに対する感謝のしるしとして、忌明けの頃に届くのが「香典返し」です。

品物が手元に届いたとき、私たちは日常の贈り物と同じ感覚で「お礼の電話を一本入れたほうがいいだろうか」「届いたことを伝えないと失礼ではないか」と考えがちです。しかし、弔事におけるマナーは、慶事や一般的な贈答儀礼とは大きく異なります。

知らずに良かれと思ってとった行動が、かえってご遺族様に失礼になったり、負担をかけたりすることもあります。本記事では、香典返しを受け取った後の振る舞いについて、現代の感覚と伝統的なマナーの両面から紐解いていきます。

1.香典返しへのお礼は、基本的になぜ「不要」なのか

結論から申し上げますと、香典返しに対してお礼をする必要はありません。これには、単なる手間を省く以上の、仏事ならではの深い理由があります。

①「不幸を重ねない」という習わし

弔事において、お礼に対してさらにお礼を返す行為は「返礼の連鎖」を意味します。これが「不幸が重なる」「悲しみが長引く」ことを連想させるため、避けるべきだとされているのです。葬儀という一度きりであってほしい儀式において、「重ねる」ことはタブー視されています。

② 香典返し自体が「完結したお礼」である

香典返しは、四十九日の法要が無事に終わり、忌明けを迎えたことを報告するとともに、香典に対する「お礼」として贈られるものです。つまり、この品物を受け取った時点で、香典に関するやり取りは完結したとみなされます。

③ ご遺族への負担軽減

ご遺族様は葬儀後の慌ただしい中で、膨大な数の香典返しの手配を終えたばかりです。そこへ一人ひとりからお礼の連絡が届くと、その対応でさらに心身を消耗させてしまうかもしれません。連絡を控えること自体が、ご遺族様への思いやり (配慮) となります。

2.香典返しの到着を伝えたいときの連絡方法と心得

マナーとしては不要であっても、親しい間柄であったり、高額な香典返しを郵送でいただいたりした場合、「無事に届いたことだけは伝えたい」というケースもあるでしょう。その際は「お礼」ではなく、あくまで「無事に届いたことの報告 (安否の確認) 」として連絡をします。

連絡をする際の鉄則

1. 「ありがとうございます」を直接使わない: 感謝の言葉ではなく「恐縮です」「恐れ入ります」といった言葉に置き換えます。

2. 忌み言葉を避ける: 重ね言葉(たびたび、くれぐれも)は厳禁です。

3. 手短に済ませる: 相手の時間を奪わない配慮が必要です。

3.手段別の注意点と具体的な例文

どうしても連絡をしたい場合、相手との関係性に合わせて手段を選びましょう。

① 電話で伝える場合

直接声を聞くことで安心感を与えられますが、相手の時間を拘束する点に注意が必要です。

注意点: 相手が取り込み中である可能性を考慮し、用件(到着報告)のみを簡潔に伝えます。

会話例:「夜分に失礼します、○○(自分の名前)です。本日、ご丁寧なお品をいただきまして恐縮しております。本来ならお手紙を差し上げるべきところ、まずは無事に届いたことだけをお伝えしたくお電話いたしました。皆様も、どうかお体を大切になさってください。それでは、失礼いたします。」

② ハガキ・お手紙で伝える場合

最も丁寧で、かつ相手の時間を拘束しないため、最もおすすめの方法です。

注意点:「拝啓・敬具」などの頭語・結語はあってもなくても良いですが、句読点(、。)は「法事が滞りなく進むように」という願いから打たないのが古くからの慣習です(現代では気にする人は減っています)。

例文:

拝啓 本日ご供養のおしるしを拝受いたしましたご丁寧なお心遣いをいただき大変恐縮しております何かと心細い日々をお過ごしかと存じますがどうかご自愛くださいますようお祈り申し上げます略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます敬具

③ メール・LINEで伝える場合

親しい友人や親類、仕事で日常的にやり取りがある相手に限ります。

注意点: 目上の方や、マナーを重んじる年配の方へは避けたほうが無難です。

例文:

○○様

本日、お香典返しの品が届きました。ご丁寧なお気遣いをいただき、痛み入ります。その後、お体の具合はいかがでしょうか。まだまだお忙しいことと存じますが、無理をなさらないでくださいね。返信は不要です。落ち着いたらまたお会いしましょう。

4.特殊なケース: 当日返し(即日返し)の場合

最近では、配送の手間や住所不明を防ぐため、葬儀当日に香典返しを渡す「当日返し」が主流になりつつあります。

当日返しの受け取りマナー

葬儀会場の受付や出口で品物を渡された際は、深々とお辞儀をし、小声で「恐れ入ります」「痛み入ります」と述べるだけで十分です。この際も、大声で「ありがとうございます!」と言うのは場の雰囲気にそぐわないため控えましょう。

後日、追加で届いた場合

当日返しの金額(通常2,000円~3,000円程度)を上回る高額な香典を包んだ場合、後日差額分の品物が届くことがあります。この場合も、対応は前述の「郵送で届いた場合」と同じです。

5. 「お返し」のお返しは絶対にNG

「香典返しをいただいたから、今度はこちらから何か贈り物をしよう」と考えるのは、弔事においては最も避けるべき行為です。

理由: 贈り物のループが始まってしまい、いつまでも忌明け (悲しみからの区切り)ができなくなってしまいます。

代替案: もしどうしても力になりたいのであれば、四十九日が過ぎた後や初盆の際に、供花やお供え物として「仏様へ」という形で届けるのが、マナーにかなった美しい配慮です。

まとめ

「香典返しにお礼をしない」というマナーは、一見すると冷たく感じられるかもしれません。しかし、その背景には「これ以上の悲しみを重ねないように」「ご遺族様をこれ以上疲れさせないように」という、日本特有の深い慈しみの心が流れています。

もし、あなたが「届いたことを伝えないと不安だ」と思うのであれば、それは相手を大切に思っている証拠です。その優しさは、形式的なお礼の言葉よりも、そっと見守り、相手の健康を静かに祈るという形に変えて届けてみてはいかがでしょうか。

ご遺族様が少しずつ日常を取り戻していくのを、適切な距離感で支えること。それこそが、香典返しを受け取った側に求められる、最も尊いマナーなのです。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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