
公開日2019/09/06|最終更新日2019/09/06
「ご葬儀の装いに相応しいアクセサリーは?」と聞かれた時に、まず頭に浮かぶのが真珠のアクセサリーである方は多いのではないでしょうか。
実際その通りで、真珠はご葬儀の際に身に着けてよいとされる数少ない宝石の1つです。
では、この真珠がどうしてご葬儀に相応しい宝石として認知されているのでしょうか。また、相応しいとされる真珠のアクセサリーにも守るべきマナーがあるのでしょうか。
いざご葬儀の場になって失礼のない装いをするためにもここで詳しく解説していきたいと思います。
そもそも長く和装文化であった日本において、喪服の際の装飾品は結婚指輪以外を身に着けることはマナー違反とされていました。これは現代でもいえることで、和装においては結婚指輪以外を身に着けることは華美すぎるため、マナーに反するとされています。
しかし、西洋発祥の洋服では正式にドレスアップすることで、故人様やご遺族へのお悔みの気持ちを表します。この弔事に際して身に着ける喪の宝石を、モーニングジュエリーと言います(morningと混同される方もいらっしゃいますが、モーニングは「喪」を表す単語mourningを指しています)。
モーニングジュエリーは、そもそもジェットが用いられていました。ジェットとは、海の底に沈んだ木の幹が長い時間を掛けて化石化した宝石(黒色)のことです。イギリスのヴィクトリア女王が、ジェットをモーニングジュエリーとして愛用したことから主流となりました。
日本の皇室においても、女性皇族方にジェットのモーニングジュエリーが取り入れられており、いかにそれが伝統的なマナーであるかが伝わると思います。
では、肝心の真珠をモーニングジュエリーに用いたのは誰なのでしょうか。それも実はイギリスの女王で、高祖母たるヴィクトリア女王を抜いてイギリス史上最長座位を誇るエリザベス2世なのです。
1965年、ウィンストン・チャーチル元英首相の国葬で、エリザベス2世は真珠のジュエリーを身にまとい参列しました。その装いを周りの貴婦人たちも倣い、それ以降、真珠がモーニングジュエリーとして広く世間に認知されるようになっていったのです。
また、真珠は「涙の象徴」という意味を持っています。そこからご葬儀に相応しいイメージで捉えられ、真珠を身に着けることは故人様やご遺族に哀しみの気持ちを表するとして定着しました。
真珠は綺麗な球状のもので、ネックレスの球は約7~8mm位までのものを選びます。ネックレスが二連になっているものは悲しみが重なることを予感させてしまうので、必ず一連のネックレスを着用しましょう。また、長すぎるネックレスも同様に、不幸が長引くことをイメージするので控えましょう。
ご葬儀の場ですから、真珠であっても華美なものは避けるのがマナーです。
ただし、地域によっては、例え真珠であったとしてもネックレスを着けること自体が華美であると捉えられることもあります。その一方でアクセサリーは洋装において喪を表す装いに不可欠なので、ノーアクセサリーは失礼であると感じる方もいらっしゃいます(記事の最初でも触れましたが、和装の場合は、結婚指輪以外のアクセサリーは身に着けないのがマナーです)。
そのため、ご葬儀に出席する際に心配な方は、予め目上の方に確認する。もしくは、鞄の中に用意をしておき、様子を見て身に着けるのもよいでしょう。
昨今ではご葬儀の席で、色味の目立たない黒真珠を身に着ける方も増えてきました。ですが、黒真珠は白真珠よりも光沢があり、場合によっては派手な印象も与えてしまうことがあります。一般的に見ると白真珠のほうが、控えめで上品な印象で身に着けられることは間違いありません。そのため、白真珠であれば冠婚葬祭においてオールマイティーに身に着けることもできます。
しかし、実際に黒真珠を身に着ける方も増えているのも事実ですので、一概にどちらだけが正解と決めつけることはできません。その場に相応しい上品な着こなしを考慮して、アクセサリーを選びましょう。
喪服に合わせるアクセサリーとしてすっかり定着した真珠のアクセサリー。定着のきっかけは、実は日本を遠く離れたイギリスの女王の装いだったのです。
国は違えど故人様を悼み、その装いにも弔意を込めることは、世界共通です。お見送りをする際は、それにふさわしい慎ましい装いで、故人様を偲びましょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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