2020-05-08
訃報は突然届きます。そのため、お通夜式やご葬儀・告別式へ参列したくても何らかの事情で参列できないこともあります。そんな時に故人様への哀悼の意を捧げることができるのが「弔電(ちょうでん)」です。しかし、どのように送ればいいのか、いつ送ればいいのか、どんなマナーがあるのかなど、悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、弔電の送り方やマナー、関係性・宗教宗旨ごとの文例などをご紹介します。
弔電とは、お通夜式やご葬儀・告別式に参列できないときにお送りする、ご葬儀の電報のことを言います。訃報の連絡を受けたが、病気や高齢であったり、遠方で暮らしていたりすることでお通夜式やご葬儀・告別式への参列が難しい場合にご遺族に弔電をお送りしお悔やみの気持ちを伝えます。そのため、お通夜式やご葬儀・告別式のいずれかに参列できる場合は弔電を送る必要はありません。
弔電を送るにあたって、お通夜式やご葬儀・告別式の日取りが迫っている方や内容を相談しながら決めたい方は、115番に電話を掛け、NTTを利用するのがおすすめです。19時までに申し込めば原則当日配達、着日指定もでき、弔電のメッセージが決まっていなくてもオペレーターが対応してくれます。
また、インターネットからであれば24時間受付可能となっています。入力した情報を完成イメージとして表示するため、電報の内容を確認しながら進めることができます。
NTT東日本「お悔やみの気持ちを弔電で」
NTT西日本「お悔やみ 電報台紙」
弔電の料金は、台紙の種類や記載する文字数によって異なります。また、台紙はメッセージカードのみのものや花・線香が付いたもの、漆やちりめんで装飾されたものなど、金額や種類は様々あります。
個人で弔電を送る場合は、お渡しする香典の金額に見合うものがよいでしょう。取引先などに送る場合は、安すぎず、華美すぎない見た目の台紙を選びましょう。
一般的に弔電は、お通夜式やご葬儀・告別式が始まる前に届くように手配しましょう。お通夜式やご葬儀・告別式の開始に間に合わなければ失礼にあたります。
お通夜式当日は、喪主・ご遺族共に故人様を亡くした悲しみに暮れる間もなく、葬儀会社との打合せや会葬者の方々への挨拶などで忙しくされています。そのため、お通夜式の際は、当日に弔電を送るのをできる限り避け、お通夜式前日までに送りましょう。
ご葬儀・告別式の場合は、遅くとも開始の1時間前までには届くようにしておきましょう。先にも述べましたが、そもそも弔電はお通夜式やご葬儀・告別式に参列できない場合にお送りするものですので、ご葬儀・告別式が終わってから送るのはマナー違反となります。特にご遺族から直接、訃報の連絡を受けていた際には気をつけなければいけません。
なお、訃報の連絡を受けた時点でお通夜式やご葬儀・告別式に参列できないことが分かっている場合は、喪主やご遺族のご負担を軽くするためにも、早急に弔電の手配をしましょう。
弔電の内容に関しては決まりがなく自由に書くことができます。しかし、ご葬儀に関するマナーや作法があるように弔電の文面に関してのマナーもあります。以下に、弔電を作成する際に知っておきたいマナーをまとめさせていただきますので、ご参照ください。
宗教によってご葬儀に関する考え方や形式が異なるため、弔電の内容にも注意が必要です。日本におけるご葬儀の形式は、仏式で行われることがほとんどですが、神式やキリスト教式では、仏式で使われる「成仏」「供養」「往生」などの使用は避けましょう。
また、近年では無宗教葬や家族葬も増えてきておりますので、弔電を送る前に故人様のご葬儀の形式について確認しておくことをおすすめします。
弔電に記載する故人様のお名前は故人様に敬意を込め、敬称を用いることで故人様と受取られる方の続柄や関係を表しましょう。
故人様と受取人との関係 | 故人様の敬称 |
---|---|
受取人の【父】 | ご尊父様(ごそんぷさま)/お父様(おとうさま)/お父上様(おちちうえさま) |
受取人の【母】 | ご母堂様(ごぼどうさま)/お母様(おかあさま)/お母上様(おははうえさま) |
受取人の【夫】 | ご主人様(ごしゅじんさま)/旦那様(だんなさま)/ご夫君様(ごふくんさま) |
受取人の【妻】 | ご令室様(ごれいしつさま)/ご令閨様(ごれいけいさま)/奥様(おくさま)/奥方様(おくがたさま) |
受取人の【祖父】 | ご祖父様(ごそふさま)/御祖父様(おじいさま)/祖父君(おじぎみ) |
受取人の【祖母】 | ご祖母様(ごそぼさま)/御祖母様(おばあさま)/祖母君(おばぎみ) |
受取人の【兄】 | ご令兄様(ごれいけいさま)/兄上様(あにうえさま)/お兄様(おにいさま) |
受取人の【弟】 | ご令弟様(ごれいていさま)/弟様(おとうとさま) |
受取人の【姉】 | ご令姉様(ごれいしさま)/姉上様(あねうえさま)/お姉様(おねえさま) |
受取人の【妹】 | ご令妹様(ごれいまいさま)/妹様(いもうとさま) |
受取人の【伯父(父母の兄)】 | 伯父様(おじさま)/伯父上様(おじうえさま)/ご令伯(ごれいはく) |
受取人の【伯母(父母の姉)】 | 伯母様(おばさま)/伯母上様(おばうえさま)/ご令伯(ごれいはく) |
受取人の【叔父(父母の弟)】 | 叔父様(おじさま)/ご令淑(ごれいしゅく) |
受取人の【叔母(父母の妹)】 | 叔母様(おばさま)/ご令淑(ごれいしゅく) |
忌み言葉は、「重ね言葉」や「死に対する直接的な言葉」を指し、不幸を繰り返す、重なるといったことを連想させてしまうため使用しないようにします。
【重ねことば】
重ね重ね(かさねがさね)/益々(ますます)/度々(たびたび)/重々(じゅうじゅう)/次々(つぎつぎ)/再三(さいさん)/いよいよ/くれぐれも/かえすがえす など
【繰り返しが連想されることば】
続く/引き続き/再び/再々/次に/なお/また/追って/追いかける など
【直接的な表現】
死亡/逝去/死ぬ/生きる/存命中/自殺 など
【不吉な表現】
浮かばれない/大変なことになる/消える など
【宗教・宗派で使っていけない言葉は避ける】
・神式やキリスト教式の場合……成仏/供養/往生などの仏式の表現
・浄土真宗の場合……霊前/冥福など
弔電では故人様のプライベートな話題に関する内容は避けたほうが無難です。ご遺族が知らなかったために、後にトラブルとなってしまう可能性もあります。
弔電の内容は、故人様との関係性や宗教宗旨によって異なります。以下に関係性や宗教宗旨ごとの文例を掲載いたしますので、ご参照ください。
山田 一郎(宛名) 様
ご逝去の報に接し、心からお悔やみ申しあげます。
ご遺族の皆様のお気持ちを思いますと心が痛みます。その旅立ちがどうぞ安らかなものでありますよう、心よりお祈りいたします。
田中 二郎
山田 一郎(宛名) 様
ご逝去を悼み、故人のご功績をたたえ、心からお悔やみ申しあげます。
〇〇様のご訃報に、当社社員一同、謹んで哀悼の意を表します。ご遺族の皆様ならびに社員ご一同様に、心からお悔やみ申しあげます。
○○会社 ○○部一同
山田 一郎(宛名) 様
ご母堂様のご逝去の報に接し、謹んでお悔みを申しあげます。
もうあの笑顔が見られないのかと思うと、悲しくてなりません。
在りし日のお姿を偲び、御霊の安らかならんことをお祈りいたします。
田中 二郎
山田 一郎(宛名) 様
ご母堂様のご逝去の報に接し、謹んでお悔みを申しあげます。
もうあの笑顔が見られないのかと思うと、悲しくてなりません。
在りし日のお姿を偲び、心安らかな眠りにつかれますようからお祈りいたします。
田中 二郎
弔電は故人様を偲び、故人様へのお悔やみの言葉を伝えると共に、ご遺族に対する励ましでもあります。ご遺族は大切な家族を失ったばかりで大きな悲しみの中にいながらも、ご葬儀に向けて様々な準備を行っております。弔電を送る際は、ご遺族のご迷惑にならないよう配慮することが大切です。