
公開日2022/06/17|最終更新日2026/06/05
大切な方が亡くなった際、最初に向き合う大きな課題の一つが「日程決め」です。一般的にお亡くなりになった翌日にお通夜を、その翌日に葬儀・告別式を執り行いますが、ここで多くの方が直面するのが「六曜(ろくよう)」の壁です。
カレンダーに記された「仏滅」の文字を見て、「仏滅に葬儀を出すのは縁起が悪いのでは?」「親戚から何か言われるかも」と不安に感じる方も少なくありません。また、最近では「友引」に火葬場が休業することによる日程調整の難しさも、喪主様にとって大きな悩みとなっています。
この記事では、お通夜・葬儀と六曜の本来の関係性から、仏滅よりも注意すべき日程のポイント、そして2026年現在の火葬場事情まで詳しく解説します。
まず、私たちが日頃目にしている「仏滅」などの六曜が、一体どのようなものなのかを正しく理解しましょう。
六曜とは、中国で誕生し14世紀頃に日本へ伝わった、日々の吉凶を占うための民間信仰です。「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6つの種類があり、それぞれに時間帯ごとの吉凶が割り振られています。
先勝(せんしょう・さきがち): 「先んずれば即ち勝つ」。午前中が吉、午後は凶。
友引(ともびき): 凶事のない平穏な日。朝晩は吉、昼は凶。「勝負がつかない」という意味が転じ、葬儀では避けられる。
先負(せんぶ・さきまけ): 「先んずれば即ち負ける」。午前中は凶、午後は吉。
仏滅 (ぶつめつ): 「仏も滅するような大凶日」。何事にも縁起が悪いとされる。
大安(たいあん): 「大いに安し」。一日中、何事においても吉とされる。
赤口 (しゃっこう・せきぐち): 正午前後のみ吉。それ以外は凶。火や刃物に注意すべき日。
「仏」という字が入っているため、仏教の行事と密接に関関係していると思われがちですが、実は六曜と仏教、さらには神道には、歴史的にも教義的にも一切の関わりがありません。
元々は 「物滅(すべての物が一度滅び、新しく始まる)」 と書かれていたものが、時代の流れとともに「仏」の字が当てられただけで、仏教の開祖である釈迦も占いや日取りの吉凶を否定しています。
結論から申し上げますと、仏滅の日にお通夜や葬儀を行うことに、宗教的・マナー的な問題は一切ありません。
前述の通り、六曜はあくまで「占い」の一種です。仏教の葬儀において、仏滅だからといって供養の力が弱まることはありません。寺院や僧侶も「仏滅なので葬儀はできません」と断ることはまずありません。
仏滅に葬儀を行うことを避ける人が一定数いるため、式場や火葬場の予約が比較的取りやすいという現実的なメリットがあります。
2026年現在、共働き世帯の増加や葬儀の小規模化(家族葬)が進み、 「縁起よりも参列者の集まりやすさや、火葬場の空きを優先する」 という考え方が一般的になっています。
葬儀の日程調整において、仏滅以上に重要なのが「友引(ともびき)」の存在です。
本来、友引は「勝負がつかない日」という意味ですが、その漢字の並びから 「亡くなった人が友を引き連れてあの世へ行ってしまう」 という迷信が生まれました。このイメージを強く気にする親族や年配の方が多いため、現在でも友引の日に葬儀 (告別式)を行うのは避けるのが一般的です。なお、お通夜に関しては「故人と過ごす最後の夜」という意味合いから、友引の夜に行うことは問題ないとされています。
最大の注意点は、 多くの自治体の火葬場が「友引」を定休日に設定している という事実です。火葬場が閉まっている以上、葬儀・告別式を執り行うことが物理的に不可能です。そのため、友引を挟む場合は安置期間が1日延びることになります。
友引が明けの日 (多くは大安になります)は、前日に火葬できなかった分、予約が集中します。火葬場の予約が取れず、希望の時間に葬儀ができない、あるいはさらに日程を延ばさざるを得ないといったトラブルが起こりやすいため、早めの予約確認が不可欠です。
葬儀の日程を決める際、六曜以外に確認しなければならない実務的なポイントをまとめました。
墓地埋葬法により、死後24時間を経過しなければ火葬することはできません。急な直葬(火葬式)を希望する場合でも、当日にすべてを済ませることは不可能です。
火葬場の空きだけでなく、菩提寺の僧侶の都合を確認しなければなりません。特にお盆やお彼岸、年末年始などの繁忙期は、僧侶の予定がつかず日程がずれることがあります。
家族葬であっても、遠方の親族が参列する場合は、交通手段や宿泊の手配が必要です。あまりに急な日程だと参列できない方が出てしまうため、バランスを考える必要があります。
日程が延びれば延びるほど、ドライアイス代や安置施設の利用料金が加算されます。また、2026年の猛暑傾向など季節によっては、衛生面からエンバーミング (防腐処置)の検討が必要になる場合もあります。
「仏滅だから」という理由で、大切な方とのお別れを無理に遅らせる必要はありません。仏滅はあくまで暦の上の記号に過ぎず、故人様への供養とは無関係です。
それよりも、
・参列者が無理なく集まれるか
・火葬場の予約がスムーズに取れるか
・ご遺族様の体力的・経済的な負担はどうか
という現実的かつ誠実な判断を優先することが、「賢い葬儀の形」と言えるでしょう。
もし親族の中に六曜を強く気にされる方がいる場合は、葬儀社の担当者に立ち会ってもらい、「宗教的には問題ない」 という専門家のアドバイスを伝えてもらうのも一つの解決策です。迷信に惑わされず、故人様と過ごす最後の時間を大切にしてください。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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