
公開日2022/09/09|最終更新日2026/09/25
仏教にはさまざまな宗派があり、それぞれに教えや葬儀の作法があります。
普段から馴染みのある宗派であれば迷うことは少ないかもしれませんが、初めて真言宗の葬儀に参列する場合、「焼香は何回すればいいの?」 「数珠はどのように持つの?」など、分からないことが出てくることもあるでしょう。
そこで今回は、真言宗の葬儀について、特徴や一般的な流れ、参列時のマナーなどを紹介します。
あらかじめ基本的な知識を身につけておけば、葬儀当日も落ち着いて故人様をお見送りしやすくなります。
真言宗は、今からおよそ1,200年前の平安時代に、空海(弘法大師)によって開かれた仏教の宗派です。
真言宗には「密教」と呼ばれる独自の教えがあり、師から弟子へと教えが受け継がれていきます。
ご本尊は「大日如来 (だいにちにょらい)」です。
真言宗では、大日如来がいる「密厳浄土 (みつごんじょうど)」 へ故人様を送り届けることを目的として、葬儀が執り行われます。
真言宗の葬儀では、ほかの宗派ではあまり聞き慣れない儀式が行われることがあります。
代表的なものとして、「灌頂(かんじょう)」や「土砂加持(どしゃかじ)」 などが挙げられます。
これらの儀式を通じて、真言宗の教えに基づき故人様を送り出します。
葬儀の中には専門的な名称の儀式も多いため、初めて参列する方は戸惑うかもしれません。
ただし、参列者がすべての儀式を行うわけではありません。基本的には僧侶が儀式を進めるため、参列者は焼香など、その場で案内された作法を行えば問題ありません。
真言宗には、高野山真言宗、真言宗智山派、真言宗豊山派などがあり、宗派や寺院によって葬儀の流れや作法には違いがあります。
そのため、ここでは一般的な式次第として紹介します。
1. 導師の入場
2. 塗香 (ずこう)
3. 洒水(しゃすい)
4. 加持
5. 三礼
6. 剃髮
7. 受戒
8. 表白(ひょうびゃく)
9. 神分 (じんぶん)
10. 引導
11. 破地獄(はじごく)の印
12. 御引導大事
13. 血脈
14. 六大印
15. 諷誦文(ふじゅもん)
16. 後讚
17. 読経
18. 祈願
19. 導師最極秘印
20. 導師の退場
21. 出棺
それぞれの儀式には、次のような意味があります。
| 塗香(ずこう) | 現世の穢れを取り除くため、身体に香を塗ります。 |
|---|---|
| 洒水(しゃすい) | 洒水器を使い、柩に法水を振り掛けます。 |
| 加持 | 手に印契を結び、金剛杵(こんごうしょ)という道具を使いながら真言を唱えます。 |
| 三礼 | 仏・法・僧に礼拝します。 |
| 剃髮 | 偈文(げもん)を唱えながら、僧侶がカミソリで故人様の頭を剃る真似をします。 |
| 受戒 | 故人様に戒律を授けます。 |
| 表白(ひょうびゃく) | 大日如来などの諸仏に対して、故人様の教化を願います。 |
| 神分(じんぶん) | 大日如来や阿弥陀如来などの降臨に感謝し、故人様の滅罪や成仏を願います。 |
| 引導 | 表白や神分を行い、不動灌頂・弥勒三種の印明を授け、故人様の即身成仏を願います。この場面で「灌頂」の儀式が行われます。 |
| 破地獄の印 | 故人様が地獄の苦しみを味わうことがないよう、心中に存在する地獄を除きます。 |
| 御引導大事 | 弘法大師引導の印や偈文、真言を授けます。 |
| 血脈 | 真言密教の血脈を授けます。 |
| 六大印 | 真言を授けます。 |
| 諷誦文(ふじゅもん) | 諷誦文を唱え、故人様の成仏を願います。 |
| 後讚 | 鉢をつきます。 |
| 読経 | 真言・陀羅尼、回向を唱えます。 |
| 祈願 | 故人様が往生するよう祈願します。 |
| 導師最極秘印 | 導師が最極秘印を結び、葬儀を終えます。 |
このように、真言宗の葬儀ではさまざまな儀式が行われます。
ただし、焼香や出棺などを除けば、基本的には僧侶が儀式を行います。そのため、参列者がすべての儀式に参加しなければならないわけではありません。
また、地域や寺院によって儀式の順番などが異なる場合もあります。分からないことがある場合には、事前に葬儀社や寺院へ確認しておくと安心です。
葬儀に参列する際、特に気になるのが焼香の作法ではないでしょうか。
真言宗では、焼香は基本的に3回行います。
ただし、参列者が多い場合などには、1回に省略するケースもあります。
1. 祭壇の前で止まり、僧侶とご遺族に一礼する
2. 焼香台の前まで進み、遺影に一礼する
3. 中指・人差し指・親指で抹香をつまみ、額に押しいただいて焼香する
4. これを3回繰り返す
5. 遺影に合掌して一礼する
6. 僧侶とご遺族に一礼し、自分の席へ戻る
ただし、実際の葬儀では、焼香の回数について会場から案内がある場合もあります。
その場合は、宗派の一般的な作法よりも、会場からの案内に従うようにしましょう。
真言宗では、「振分数珠 (ふりわけじゅず)」と呼ばれる数珠を使用します。
振分数珠は 108個の主玉 (おもだま)が連なった数珠で、男性用と女性用では玉の大きさが異なります。
数珠を持つ際は、親玉が上になるよう二重にしてから左手にかけ、房を握ります。
ただし、真言宗でも宗派によって数珠の持ち方などに違いがあるため、必要に応じて確認するとよいでしょう。
なお、喪主やご遺族は振分数珠を持つ必要がありますが、参列者に振分数珠が必須というわけではありません。
さまざまな宗派の葬儀に参列する機会がある方は、どの宗派でも使用できる略式数珠を用意しておくと安心です。
葬儀に参列する際には、香典を用意します。
金額は故人様との関係によって異なるため、以下を一つの目安として考えるとよいでしょう。
| 故人様との関係 | 香典の目安 |
|---|---|
| ご友人・隣近所の方・会社関係 | 5,000~10,000円 |
| 兄弟姉妹 | 30,000円程度 |
| 祖父母 | 50,000円程度 |
| 両親 | 100,000円程度 |
表書きについては、真言宗だから特別な書き方をするというわけではなく、「御霊前」「御香典」などと記載します。
香典袋に文字を書く際には薄墨を使用し、お札は新札ではなく、折り目を入れるなどして旧札を用意します。
内袋の表面には香典の金額、裏面には住所と氏名を記載します。
金額を書く場合には、
・「一」→「壱」
・「三」→「参」
・「五」→「伍」
のように旧漢字を使い、「金○○萬圓也」と記載します。
香典は袱紗(ふくさ)に包んで持参し、受付では袱紗から香典を出して渡します。
その際には、
「このたびはご愁傷様でございます」
など、お悔やみの言葉を添えるとよいでしょう。
喪主を務める場合、葬儀を執り行っていただいた僧侶へお布施を渡します。
金額は寺院との関係性などによって異なりますが、元原稿では、戒名料・読経料・御車代・御膳料などを含めて、50万円~100万円が目安として紹介されています。
また、一般的な「信女・信士」ではなく、「院信女・院信士」などの戒名を授けてもらう場合には、戒名料だけで80万円~100万円程度必要になるケースもあります。
ただし、お布施の金額は一律ではありません。
実際にどの程度用意すればよいのか分からない場合は、寺院や葬儀社に事前に確認しておくと安心です。
葬儀に参列するときの服装は、基本的には一般的な葬儀と同様です。
男性の場合は、準喪服であるブラックスーツを着用します。
女性の場合は、ブラックフォーマルスーツなどを着用します。
一方、喪主を務める場合には、男性はモーニングコート、女性はブラックフォーマルドレスなどの正喪服を着用することが一般的です。
なお、七回忌以降の法要などで着用する略喪服は、葬儀では着用しません。
真言宗の葬儀には、灌頂や受戒、引導など、普段の生活ではあまり耳にすることのない儀式があります。
そのため、初めて参列する方が「何をすればいいのか分からない」と感じるのは珍しいことではありません。
大切なのは、すべての儀式を覚えておくことではありません。
参列者が行う焼香などの作法については、当日の案内に従えば基本的には問題ありません。
また、真言宗には複数の宗派があり、寺院や地域によっても葬儀の流れや作法が異なる場合があります。
葬儀を執り行う側も、参列する側も、分からないことがあれば葬儀社や寺院に確認しておくと安心です。
真言宗は、空海(弘法大師)によって開かれた仏教の宗派で、大日如来を本尊としています。
真言宗の葬儀では、灌頂や受戒、引導など、さまざまな儀式が行われます。
また、焼香や数珠、香典などにも知っておきたい基本的な作法があります。
ただし、真言宗には複数の宗派があり、寺院や地域によっても葬儀の流れや作法が異なる場合があります。
葬儀について分からないことや不安なことがある場合は、事前に葬儀社や寺院へ相談しておきましょう。
故人様を心穏やかにお見送りするためにも、あらかじめ基本的な知識を身につけ、当日に備えておくことが大切です。
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