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2024-06-21

「御霊前」と「御仏前」の違い|不祝儀袋(香典袋)の表書きの使い分けを解説

ご葬儀に参列することになった場合、まず用意しなければならないのが不祝儀袋です。ところが、巷には「御霊前」と「御仏前」の二種類のものが店頭に並べられています。ここで、どちらをどのようなタイミングで使うのか、迷われる方も多いのではないでしょうか。

そこで当記事では、「御霊前」と「御仏前」の意味や違い、表書きの使い分けについて明確に解説していきます。

「御霊前」と「御仏前」の意味

御霊前と御仏前(御佛前)は、弔事に用いられる不祝儀袋の表書きです。表書きとは、袋前面の上段に記載される金銭の目的を指します。

「御霊前」はご葬儀や四十九日前までの法要で使用しますが、「御仏前」は四十九日以降の法要で使用するのが一般的です。ここでは、それぞれの意味を解説いたします。

御霊前(ごれいぜん)

亡くなった方の「霊」の前に供えるという意味です。仏教では亡くなってから四十九日までは霊の状態にあるとされています。故人様に供える香典・供物・供花も同じく「御霊前」と表記しましょう。

御仏前(ごぶつぜん)

亡くなった方の「仏」の前に供えるという意味です。仏教では四十九日を過ぎると故人様は成仏して仏になるとされています。つまり、御霊前ではなく「御仏前」です。

「御霊前」と「御仏前」の境目は四十九日

故人様の魂は、四十九日になるまでこの世へ留まるとされています。そして、四十九日目に極楽浄土へ旅立つことができるのか否かの審判が下され、霊から仏に昇格すると考えられているのです。

つまり、御霊前と御仏前は四十九日前後で使い分ける必要があります。

四十九日法要はどちらを使う?

故人様が亡くなった日から、四十九日になるまでの中陰期間に執り行われる法要を忌日法要(きにち・きじつ ほうよう)といいます。忌日法要にあたるのは、初七日・二七日・三七日・四七日・五七日・六七日・七七日(四十九日)ですが、初七日から六七日に参列する場合の不祝儀袋の表書きは御霊前、そして四十九日以降の仏事から使用される表書きが御仏前だと覚えておけば間違いありません。

四十九日法要が繰り上げられた場合は?

前倒しして行う法要は、繰り上げ法要と呼ばれています。繰り上げ法要といえば、ご葬儀と初七日を同時に行うのが一般的です。ただし、地域の風習やご家庭のご希望などで、四十九日の繰り上げ法要を行う場合があります。

本来であれば、四十九日は亡くなってから49日目に行うのが正式です。しかしながら、仏教では早めに法事を行っても良いとされているので、繰り上げ法要に参列することもあるかもしれません。この場合、亡くなってから49日が経過していない場合でも、四十九日の表書きには御仏前と記入します。

四十九日を繰り上げ法要することは、ご葬儀の当日に知らされる場合も多いです。四十九日法要として食事が振る舞われた場合は、後日に御食事代をお渡ししたり、四十九日の分として香典をお渡ししたりする地域もあります。

宗派による「御霊前」と「御仏前」の使い分け

日本で信仰されているのは仏教だけではなく、神式やキリスト教の追悼行事へ参列する機会もあるかもしれません。その場合の表書きについても知っておくことで、安心して香典をお渡しできます。ここからは、宗教による表書きの違いについてご案内していきます。

宗派による表書きの使い分けは原則不要

仏教におけるそれぞれの宗派の不祝儀袋へ表記する表書きについて、四十九日以前は「御霊前」、四十九日以後は「御仏前」を利用する形で、ほとんど変わりありません。

ただし、浄土真宗・真宗大谷派などの真宗や曹洞宗では、表書きの書き方が変わります。真宗や曹洞宗の場合、人が霊魂となる概念はなく、亡くなると同時に仏になるという考え方があるのです。よって、仏様に対する香典の表書きは、四十九日前でも御仏前と記載するのが正式です。

仏式で宗派が分からない時はどうする?

ご葬儀に参列が決まった際に、どの宗派か分からない場合、表書きには御香典(おこうでん)と記載するのが無難です。

御香典とは、故人様の前にお供えするお香やお花の代わりに供える金銭といった意味を持ちます。この表書きは、仏式のご葬儀からさまざまな法要にも使える表書きですので、覚えておくと便利です。

神式・キリスト教のご葬儀における表書き

神式やキリスト教のご葬儀に参列する場合、仏式とは基本的に教えが異なるといった認識を持ち、下記を参考に表書きを作成してみましょう。

・神式

無地の不祝儀袋を使用し、御神前(ごしんぜん)・御榊料(おんさかきりょう)・御玉串料(おたまぐしりょう)・御神饌料(ごしんせんりょう)のいずれかを記載します。ご葬儀では御霊前を使用しても問題ありませんが、あらかじめ神式と分かっている場合は「御神前」と記載するのが正式な書き方です。

・キリスト教(カトリック)

無地、あるいは百合の花か十字架がプリントされている不祝儀袋を使用し、御花料・御ミサ料・御弥撒(おんみさ)のいずれかを記載しましょう。なお、カトリックのご葬儀でも御霊前を使用して構いません。

・キリスト教(プロテスタント)

不祝儀袋はカトリックと同じで、無地あるいは百合の花か十字架がプリントされているものを用意します。表書きは御花料・忌慰料(きいりょう)・御忌慰(おんきい)・献花料(けんかりょう)のいずれかです。プロテスタントのご葬儀では、御霊前は使用できません。プロテスタントの考え方から、御霊前は「異教の偶像を崇拝している」という意味に取られてしまうためです。

キリスト教のご葬儀へ参列される機会があり、カトリックかプロテスタントか分からない場合は、「お香の代わりに献花を捧げる」という意味合いの御花料が共通で使用できます。

まとめ

日本には仏式やキリスト教式、神式などの様々な形式があるため、香典を送る際のマナーも少し複雑になっています。そのため、タブーとされることを避けるなど、ご葬儀に際しても細かい気遣いが必要です。

社会人になったら、ビジネス上の付き合いでもご葬儀に参列することが増えてくるでしょう。そういった時に恥をかかないためにも、「御霊前」と「御仏前」の違いや宗教や宗派による使い分けなどは一通り理解しておきたいところです。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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