
公開日2020/11/13|最終更新日2020/11/13
法事・法要などの際にお仏壇にお供えする精進料理のお膳を「霊供膳(れいぐぜん/りょうぐぜん)」と言います。日常生活ではあまり馴染みがありませんが、法事・法要などの供養の場面において欠かせないお供えの1つになります。
そこで今回は、霊供膳の意味や献立、宗派ごとの並べ方などの霊供膳のマナーなどについてご紹介します。
霊供膳(れいぐぜん/りょうぐぜん)は、お仏教における真宗以外の宗派でお仏壇にお供えするお膳のことで、白飯と一汁三菜からなる精進料理を指します。「御霊供膳(おりょうぐぜん)」や「供養膳」「仏膳椀(ぶつぜんわん)」などとも呼ばれます。
霊供膳をお供えするタイミングとしては、故人様が亡くなられた日である祥月命日や四十九日、お盆、お彼岸などの法事・法要の際やお仏壇を新調した時に執り行われる「開眼供養(かいげんくよう)」の際になります。
法事・法要では故人様やご先祖様の霊がこの世に戻ってこられます。その故人様やご先祖様を料理でおもてなしすることによって、供養と感謝の気持ちを示すという意味があります。より正確に言うと、故人様やご先祖様に料理の香りや湯気を味わっていただき、料理をおさげした後に私たちが召し上がることで、故人様やご先祖様と食事を分かち合うということです。
なお、真宗の教えでは故人様は浄土で仏になると考えられているため、霊供膳を用意しないため注意しましょう。
霊供膳に盛り付ける料理は、先ほども述べたように、白飯と一汁三菜が基本となります。霊供膳にふさわしい料理である精進料理ですが、これには肉や魚を用いないだけでなく、ネギ・にら・らっきょう・にんにくなどの刺激が強い香味野菜である「五辛(ごしん)」は避けて作られる菜食になります。平椀に盛り付ける煮物に使用する出汁にも動物性のものは使用せず、椎茸などを使用します。
各椀に盛り付ける内容に関しては以下のようになります。
・親椀(おやわん)……白飯を山盛りで盛り付けます。
・汁椀(しるわん)……お味噌汁やお吸い物を盛り付けます。
・平椀(ひらわん)……煮物を盛り付けます。
・壺椀(つぼわん)……煮豆や胡麻和え、なますといった和え物を盛り付けます。
・高坏(たかつき)……香の物を盛り付けます(「身を切る」と言われる3切れではなく2切れ盛り付けるようにします)。
霊供膳は地域や宗派などによっては2つ用意してお供えすることがあります。これは一方が故人様の分でもう一方がご先祖様の分と考えることもありますが、一方が故人様やご先祖様の分でもう一方は無縁仏となられた方のものになることもあります。いずれにしても、用意すべき霊供膳に関しては、ご親戚やご近所の方、お寺などに確認しておくとよいでしょう。
霊供膳をお仏壇にお供えする際の一般的な並べ方としては、箸を仏前に向け、手前に親碗と汁椀を、その奥に平椀と壺椀を、お膳の中央に高坏を配置します。
ただし、宗派によっては並べ方が異なりますので注意しましょう。以下で宗派ごとの並べ方をまとめましたのでご参照ください。
左上に平椀を、中央に高坏を、右上に壺椀を配置します。なお、日蓮宗では朱色の膳引きや椀を使用します。
左上に平椀を、中央に壺椀を、右上に高坏を配置します。
左上に壺椀を、中央に高坏を、右上に平椀を配置します。
霊供膳をお供えすることで私たちは故人様に感謝の気持ちを表すことができ、お下げした料理をいただくことで食事の楽しみを故人様やご先祖様と共有できます。つまり、霊供膳をお供えすることは私たちと故人様・ご先祖様をつなげることになります。
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