
公開日2025/10/31|最終更新日2025/10/31
家族がお亡くなりになったら、荼毘に付してお墓に納骨し、子々孫々が引き継いでいく、という考え方が長年にわたり一般的とされてきました。しかし昨今ではさまざまなご事情で、合祀墓(ごうしぼ)や永代供養(えいたいくよう)を選択しようと考えるご家庭も増えてきています。
そこで今回は合祀墓や永代供養の具体的な内容や、選択した場合のメリットやデメリット、またはその他の選択肢なども解説します
代々のお墓を継ぐ方がいない、あるいは新たにお墓を購入する余裕がない場合は、別の埋葬方法の検討が必要です。そのような場合に、選択肢としてよく耳にするのが、「合祀墓」と「永代供養」です。よく似た使われ方をされる表現ですが、大きな違いがあります。
| 【合祀墓】 | 【永代供養】 |
|---|---|
| 他人を含む複数のご遺骨を混ぜて、一か所にまとめ、埋葬する埋葬方法・お墓を指します。 | 寺院や霊園がご遺族に代わって、ご遺骨の管理・供養を継続して請け負う(委ねる)管理方法です |
合祀とは、複数のご遺骨を合わせて埋葬する方法のことです。具体的には、骨壺からご遺骨を取り出し、他の方のご遺骨と合わせて土に還す方法であり、こうして一か所に埋葬されたお墓を合祀墓といいます。いったん他のご遺骨と混合されると、後日取り出すことはできません。
合祀という語は、もともと神道において亡くなった方や神々を一社に併せて祀る、という意味で用いられてきました。近年は霊園・寺院における埋葬用語としても一般化しています。
また、「合祀墓」に似た方式として、「合同墓(ごうどうぼ)」という方式もあります。合同墓は骨壺のまま他の方の骨壺と同一区画に納める方式であり、骨壺を保持するため、将来の改葬(他墓所への移転)が認められる場合もあります。可否や条件は施設により異なるため、事前確認が必要です。
永代供養とは、寺院や霊園がご遺族に代わって継続的に供養・管理を行う管理方法を指します。供養・管理を施設側に委ねる仕組みで、継承者が不在でも対応できます。
ここでいう「永続的」とは、「施設が存続する限り」を意味し、永遠を保証するものではありません。万が一、施設が閉鎖・移転する場合は、その施設による管理・供養は原則終了し、以後の取り扱い(合祀先や移管先など)は施設の規約で事前に確認しておく必要があります。
運用内容は施設ごとに異なりますが、例としてはお盆・彼岸の合同供養、墓所の定期清掃・維持管理、年忌法要の実施などが挙げられます。
近年の寺院・霊園では、永代供養(管理)と合祀(埋葬)をセットにした運用が多くなっています。少子化・核家族化に伴う継承者不在や、無縁墓の抑止、運営側の維持管理の効率化といった事情から、「永代供養+合祀」を前提として設計されたプランが増えているためです。
そのため、現代では永代供養墓と合祀墓は混同して使われることが多く、合祀と永代供養の違いが分かりづらくなっているのが現実です。中には永代供養墓と合祀墓を同義として扱う施設もあります。
永代供養墓を希望される方の中には、亡くなってすぐに合祀されることに抵抗を感じる方もいるでしょう。
確かに、永代供養は「合祀墓」とセットになっているケースが多いですが、他の埋葬の選択肢もあります。以下、埋葬法の例を挙げていきますのでご参照ください。
現在も広く用いられている埋葬方法の一つが、一般墓への納骨です。新規に建立する場合は、墓石の形状や材質などを選択でき、意向を反映しやすい特徴があります。また、継続的なご供養の拠点となり、家族の象徴的な場にもなり得ます。
一方で、初期費用が相対的に高い点には注意が必要です。費用の目安は1,500,000~2,000,000円で、主な内訳は墓所の永代使用料(土地使用料)と墓石代などで構成されます。
樹木葬とは、シンボルとなる樹木の下にご遺骨を埋葬する方式です。一般的に継承者を前提とせず、管理負担が比較的少ない点が特徴です。シンボルツリーは桜、ハナミズキ、サルスベリ、バラ、クスノキ、ヤマツツジ、ウメモドキ、椿、モミジなどが用いられ、種類は霊園ごとに異なります。
樹木葬には、集合埋葬型(合祀型)と個別区画型があります。合祀に抵抗がある場合は、個別に埋葬スペースを設ける個別区画型を選択するとよいでしょう。
費用の目安は、合祀型で100,000~300,000円、個別区画型で500,000~1,500,000円と、一般墓に比べて費用は抑えられます。
なお、樹木は生き物であるため、枯れてしまうリスクがあります。対応は施設により異なり、植え替えを行う場合もあれば、自然の寿命として枯れ木を残す場合もあります。あらかじめ各施設の方針・規約を確認しておくことが重要です。
納骨堂とは、屋内でご遺骨の入った骨壺を収める施設のことです。納骨堂にはさまざまな種類があります。
スペースごとに仏壇や位牌が配置されている「仏壇型」、コインロッカーのような形の入れ物の一つにご遺骨が収められている「ロッカー型」、参拝の際に機械操作でご遺骨が運ばれてくる「自動搬送式」などです。
施設によってご遺骨の収め方や規則もさまざまですが、利用期限が過ぎれば合祀される運用が一般的です。規定で利用期限が設けられている場合は、永代供養料や管理費の支払い継続にかかわらず、期限後に合祀へ移行します。
一方で、合祀に移行しない方針の納骨堂を設けている例もあります。初期費用相場は300,000~1,000,000円です。土地や建物の条件、ご遺骨の扱い、施設による細やかな規則、費用などを考慮し、納得のできる納骨堂を探してみると良いでしょう。
ここからは、永代供養付きの合祀墓に埋葬した場合の、メリット、デメリットをお伝えしていきます。
主なメリットは、納骨時の費用が比較的低い点です。費用の目安は30,000~300,000円です。また、管理費の負担が基本的に発生せず、継承者を必要としないため、墓所の清掃等の手間も生じません。
合祀は、供養を行いながらご遺骨を土に還すことを目的とする方式です。その性質上、血縁関係のない方のご遺骨と混ざり、いったん混合されると取り出すことはできません。
中には、他人同士のご遺骨を混ぜるという行為がどうしても受け入れられない方もまだまだ多いので、ご親族から強い反対を受ける場合もあります。したがって、独断で合祀を決めると大きなトラブルの元にもなりますので、必ず話し合いの場を設けることが大切です。
合祀に抵抗がある場合は、合祀を前提としない永代供養墓や、一定期間の個別安置後に合祀へ移行する方式などの選択肢も検討するとよいでしょう。
合祀墓や永代供養が多く選ばれるようになった背景には、少子高齢化によってお墓を引き継ぐ方が見つからない、一生涯未婚を通したいなど、現代ならではの考え方や事情があります。そこで、先祖代々のお墓を引き継いでいく以外の方法を選ぶ方が増えていると考えられます。
しかしながら、新しいご供養方法にはメリットやデメリットのほか、ご親族の考えなども考慮する必要があるため、埋葬法は慎重に決めましょう。悔いのない形でご供養していくために、当記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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