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合祀墓とは?合葬との違いや、費用相場、お参りの作法を分かりやすく解説

公開日2025/10/24|最終更新日2025/10/24

昨今の少子高齢化社会では、お墓の継承者が見つからないことが大きな課題です。このような状況を背景として、お墓を所有せずにご供養ができる方法が多様化しています。

今回は、その中でも「合祀墓(ごうしぼ)」に焦点を当て、概要・種類・費用相場に加え、参拝の持ち物や手順をご紹介します。埋葬先の選択肢に合祀墓がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

合祀墓とは?

合祀(ごうし)とは、骨壺から故人様のご遺骨を取り出し、血縁関係のない不特定多数のご遺骨と一緒に納めることです。合わさったご遺骨は土の中に埋葬され、その埋葬先を「合祀墓」と呼びます。合祀墓は、寺院や霊園の管理者によって、お手入れやご供養が行われます。

合葬墓との違いは?

合祀墓と混合されやすいのが「合葬墓(がっそうぼ)」です。いずれも複数のご遺骨を共同の空間に埋葬する点では共通していますが、合祀墓は骨壺からご遺骨を取り出し混ぜて埋葬するのに対し、合葬墓は骨壺のまま納める点が異なります。

なお、合葬墓はスペースに限りがあるため、一定期間を過ぎて合祀されるケースが多く見られます。ご契約前に、合祀されるまでの期間を確認して、納得したうえで決断することが重要です。

永代供養との違いは?

合祀墓は、他人同士のご遺骨を直接混ぜ合わせて埋葬するお墓のことです。一方、永代供養(えいたいくよう)とは、合祀墓や合葬墓を管理する寺院や霊園が、埋葬されたご遺骨を継続的に管理する仕組みです。なお、永代とは永遠を意味するのではなく、施設が継続する限りは管理を続けるという意味です。

つまり、合祀墓や合葬墓はお墓そのものを指し、永代供養は施設側で行う管理方法を意味します。

合祀墓の種類

合祀墓は、大きく3種類に分けられます。

<合祀墓の種類>

・納骨堂(のうこつどう)

・慰霊碑(いれいひ)

・樹木葬(じゅもくそう)

それぞれ同じ合祀墓に属するお墓ですが、埋葬方法が異なるので、各ご遺族のご事情に合った場所を選びましょう。

納骨堂

納骨堂とは、屋内でご遺骨を保管・管理するお墓専用の施設です。ご遺骨は一体ずつ骨壺に納められ、共用スペースに安置されます。仏壇式、位牌式、ロッカー式、自動搬送式、墓石式と納骨堂の種類も豊富であり、建物のグレードや土地の環境によって負担額は異なります。

雨に濡れずにお参りできる一方で、屋内ゆえの制約もあります。

<納骨堂の制約>

・火事のリスクを防ぐため、お線香やロウソクなどの火気を禁止

・腐敗を防ぐため、生花や食べ物のお供えの持ち込みを禁止

・声が響き、ほかの参拝者への迷惑とならないよう、読経や大声での会話を禁止

なお、禁止事項は施設により異なります。また、納骨堂は個別の保管期間が決まっており、期間が過ぎると合祀されるのが一般的です。保管期間については、契約前に確認しましょう。

慰霊碑

慰霊碑型の合祀墓は、最も一般的な形式で、通常のお墓と同様にお参りできます。亡くなった方の霊を慰めるため、納骨スペースの上部に、石碑や供養塔、仏像などの建造物が設けられているのが特徴です。

なお、戦争や大事故、災害で多くの方が亡くなった際に建てられるのも、慰霊碑です。表面に名前が刻まれる場合や、地下スペースに名簿を納め、実際のご遺骨は別の場所に安置される場合もあります。

樹木葬

樹木葬は、墓石や石碑の代わりに樹を墓標にして、ご遺骨を埋葬する方法です。ご遺骨を自然に還すことが目的なので、骨壺からご遺骨を取り出し、ほかの方のご遺骨と共に樹木の側に埋葬します。ただし、業者によっては骨壺のまま埋葬できることもあるので、確認してみると良いでしょう。

合祀墓の費用相場

ここからは、合祀墓に関する費用相場についてご紹介します。一般的な合祀墓の相場は、1柱ごとに30,000~300,000円です。金額は立地条件や施設、サービス内容により異なりますが、施設によっては、1柱30,000~50,000円で利用できる場合もあります。なお、合祀人数が多ければ多いほど、費用が高くなる傾向にあります。

なお、一般的なお墓の費用相場は、1,000,000~3,500,000円です。施設やシステムによって異なりますが、合祀墓と比べて大幅に費用を抑えられるのが特徴です。

一方、納骨堂の相場は100,000~1,500,000円で、管理費やシステム内容によって金額に幅があります。なお、以下の表は目安として参考にしてみてください。

【納骨堂種類】 【費用相場】 【内容】
仏壇式 500,000~1,500,000円 床下スペースに納骨され、その上に仏壇が置かれます。施設により霊廟(れいびょう)とも呼ばれています。
位牌式 100,000~300,000円 個々の位牌がご遺骨と共に並べられます。施設によっては、位牌とご遺骨が別に納められている場合もあります。
ロッカー式 200,000~800,000円 コインロッカーのような外観で、参拝時に納骨の安置スペースを開けられるタイプと、開けられないタイプがあります。
自動搬送式 700,000~1,500,000円 参拝時にICカードをかざすと、ご遺骨が自動的に運ばれてきます。
墓石式 500,000~1,500,000円 室内に墓石が建てられ、お参りできます。

納骨堂では、施設によって管理費が初期費用に含まれている場合と、年ごとに発生する場合がありますので、契約前に確認しましょう。また、屋外の「慰霊碑型」に埋葬する場合は、墓石費用や管理費が不要であることが一般的です。費用を最小限に抑えられるうえ、管理はすべて施設側に任せられるため、継承の心配もありません。

合祀を選ぶ家が増えている背景

近年はさまざまな事情により、合祀墓をご利用になる方々が増えています。その背景は、以下のとおりです。

<合祀を選ぶ家が増えている背景>

・お墓の納骨スペースが足りない

・お墓の継承は手間や管理費がかかるので、子孫に負担をかけたくない

・お墓を継ぐ人がいなくなり、無縁墓化することを避けたい

合祀をする際の注意すべきポイント

ここからは、ご遺骨の合祀をお考えの方が注意すべきポイントをご紹介します。

後から遺骨を取り出せない

合祀されたご遺骨は、ほかのご遺骨と混ざるため取り出せません。後からお墓を建てて個別にご供養したい、分骨して祀り直したいと考えても実現できなくなります。後悔しないように、合祀を選ぶ際は確固たる意志を持つことが大切です。

ご家族・親族への相談が重要

ご遺族やご親族の中には、合祀に抵抗を感じる方もいます。合祀をする場合は、そのような方々とよく話し合い、理解を得ることが大切です。個人の判断だけで進めてしまうと、近親者とのトラブルに発展する恐れがあるため、注意が必要です。

合祀墓にお参りする方法

合祀墓へのお参りは、共有のスペースや置物、シンボルの樹の前で行います。服装は、普通のお墓参りと同様に、ダークトーンの普段着で構いません。お墓参りの方法は、以下を参考にしてみてください。

合祀墓にお参りするときの持ち物

一般の合祀墓は、掃除をする必要がありません。基本の持ち物は、以下のとおりです。

<合祀墓にお参りするときの持ち物>

・お線香(仏教のみ)

・ライター(お線香用)

・供花

・供物

・数珠

なお、日差しが強い日は日傘、雨の日は雨合羽や雨傘を用意しましょう。虫に刺されやすい方は虫よけスプレー、日焼けしやすい方はUVクリームを使用すると安心です。また、納骨堂では火気厳禁としている施設が多いため、基本的な持ち物は施設の指示に従ってください。

合祀墓にお参りするときの手順

ここからは、合祀墓に到着後、お参りする流れをご紹介します。

<合祀墓参拝手順>

①シンボルとなる建造物や樹に一礼します。

②共用の献花台に1束のお花を添えます。

茎側は奥、お花はこちらへ見えるよう手向けます。

③供物をお供えします。

④仏教の場合はお線香をあげます。

共用の線香台を使うので、使う本数は1~2本です。

⑤合掌して黙祷を捧げます

⑥供物を片付け、一礼してその場を後にします。

供え花・お線香・お供え物などを禁止している場合もあるので、施設の決まりに従いましょう。

掃除は管理者が行うため、自分で行う必要はありません。なお、持ち帰った供物は「お下がり」として、ご家庭でいただきましょう。故人様の良いご供養となるはずです。

まとめ

合祀墓は、少子高齢化が進む現代社会において、必要とされるシステムの一つです。先祖代々のお墓を継がなければならない決まりはないので、ご自身のお考えとご親族の理解が得られれば、利用するのも一つの選択肢といえるでしょう。

合祀墓はお墓参りも可能であり、手順やマナーを守りながら、心を込めて手を合わせることが大切です。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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