
公開日2021/04/02|最終更新日2025/08/22
よく家の玄関先やお店の前などで山のような形で塩が盛られているのを見たことある方は多いと思います。これを「盛り塩」といい、日本では古くから玄関先やお店の前などに置かれていました。
そこで今回は、「盛り塩」の意味やその効果などについてもご紹介します。
盛り塩の歴史に関しては諸説ありますが、もともと古代中国の宮廷に置かれていたのが起源とされている説が有力です。「強力な魔除けの力を持つ」と信じられていた盛り塩は、宮殿のみならず寺院などで広く使用されており、やがて奈良や平安時代には日本にも伝わってきました。
そもそも、当時の貴族は「牛車」を所有する方が多く、動力となる牛は塩をなめる性質を持っていました。つまり、玄関前に塩を撒いておくと牛が足を止めて塩をなめるため、自宅の前に高貴な牛車が止まるのです。その状態は「縁起が良い」とされ、玄関先に塩を撒いておくご家庭が増えました。
江戸時代になると、商人達が「商売繁盛」を願って店先に盛り塩を置く慣習が広まります。当時の書物にも、民家でも家の戸口に塩を置いていたとの記録が残っています。
なお、かつての塩は非常に貴重で神聖なものでした。そのため、神具として神棚に供えられていたり、盛り塩を敷地内に置くことでその土地や住人が力を得られたりするとも考えられていました。
この行いが、運を招く「縁起担ぎ」とされ、盛り塩という形で引き継がれてきたのです。なお、現代での盛り塩は「厄除け」や「魔除け」として使用されるのが一般的となっています。
ここからは、盛り塩の置き場所について解説していきます。また、盛り塩を置くのに縁起が良いとされる「主な置き場所」は以下の表をご参照下さい。
| 【置き場所】 | 【伝えられている効果】 |
|---|---|
| 玄関 | 邪気や悪運を祓い 、良い気を呼び込む |
| 窓の近く | 外からの邪気を祓い窓からも良い運気を取り込める |
| キッチン | 火と水双方の要素があるため陰陽のバランスを整える |
| トイレ | 悪い気が溜まりやすいため、空間の浄化が主な目的となる |
また、盛り塩の置き場所は方角によって効果をより強くするとも考えられています。こだわりがある方は、以下の方角を意識されて置いてみてはいかがでしょうか。なお、方角は方位磁石がなくとも、スマホの方位磁石アプリで簡単に割り出せます。
【盛り塩を置くと良いとされる方向(6カ所)】
・家の中心から見て、東西南北の4方向に設置
・表鬼門(北東)…相続、引っ越しの変化に良い影響を与える
・裏鬼門(南西)…家庭内の調和、健康に良い影響を与える
さらに、置き場所による詳しい意味は以下をご参照下さい。
盛り塩を置くのに一番重要なのは玄関です。なぜならば、玄関は外部の良いエネルギーや邪気が一番流れ込んでくる場所だと伝えられているからです。つまり、ここに盛り塩を置くことで良い運気を呼び込み、邪気をはじき返す効果が期待できます。
置き場所は、玄関の両脇が理想的です。内側でも外側でも構いません。スペースが厳しい場合はどちらか一方でも大丈夫です。
ただし、盛り塩を置く際に気をつけなければならない事があります。それは、出入りの時、邪魔にならない位置に置くことと、設置前の玄関は必ず清掃しておくことです。置き場所やドア周辺の汚れは、盛り塩の効力を弱めるようです。常に清潔を保つよう心掛けましょう。
窓の近くに置く理由は、玄関と大差ありません。良い運気を呼び込み、邪気をはじき返す効果が見込めます。置き場所は窓の開閉で邪魔にならない位置が良いでしょう。観葉植物などがあれば、調和を考えて配置するのがベストです。玄関と同様、盛り塩を置く場所は清潔感を意識します。
キッチンへの盛り塩も有効です。キッチンでは、熱い火と冷たい水が両方存在しますので、盛り塩で空間を整えることが大切だと伝えられています。キッチン空間の調和が整えば、金銭運、家族運に上昇の兆しが見られるかもしれません。
おすすめの置き場所は以下の3カ所です。
・シンク(水)とコンロ(火)の中間…空間の調和が整います。
・作業台の隅っこ…調理時の食材に邪気が入り込むのを防ぎます。
・家電の近く…電子レンジ、冷蔵庫などの家電から出るエネルギーが落ち着き、家族運が強化されます。
塩は水分を含むと固まりやすいためマメに取り替えましょう。無論、置き場所の清潔は保ちます。
トイレへの盛り塩ですが、実は賛否両論に分かれます。理由は以下の通りです。
【盛り塩推奨論】
・最も邪気が溜まる場所なので、空間浄化に一役買います。
・気のバランスが整い、健康運や家族運が改善します。
【盛り塩否定論】
・トイレは邪気が多すぎるため、盛り塩が邪気を吸いきれず逆効果になるとの説があります。
・そもそも場所が不浄なので、盛り塩を置くのに向かないとされています。
もし置くのであれば、便器から極力離れた高めの位置がベストで、清潔感は必須です。トイレに盛り塩を置くかどうかは、個々の感覚とご判断で決めて良いでしょう。
洗面所や風呂場は、湿気が多いので邪気が溜まりやすい空間です。盛り塩をすれば、健康運や愛情運が上昇するといわれています。
おすすめの置き場所は以下の2カ所です。
・窓枠、壁にある棚の上部…水が掛からない場所が効果的です。
・バスタブの近く…水の氣が整います。
盛り塩で使用する塩は、100%無添加の天然塩が適してといわれています。
・天然の粗塩
・岩塩(ミネラル分が豊富で、浄化力が高いとされています)
・盛り塩専用塩(専門店に売っています。高価だがお清め効果が高いとされています。)
・神社の塩(神社の祈祷で清められているので、非常に高い浄化力といわれています。)
なお、海水から塩化ナトリウムを抽出した食卓塩、また味塩はミネラル成分が少ないこともあり、盛り塩には不向きだといわれています。
盛り塩は、塩の形を作るのに「盛り塩固め器」といった道具が便利です。ネットで販売されていますが、塩を販売している神社や100円ショップの方が早く手に入れられるかもしれません。
盛り塩の形は円錐(えんすい)か八角錐(はっかくすい)が一般的です。お好きな型を購入しましょう。手に入れた型に塩をしっかり詰めたらその上に小皿を被せてひっくり返し、そっと型を取ったら盛り塩の出来上がりです。
もし、手元に型が無ければ、以下の方法をお試してみましょう。
①塩を霧吹きで少し湿らせる
②小皿の上に乗せる
③指やヘラを使い、丁寧に円錐型へ整える
盛り塩は、1週間~10日ほどで交換するのが一般的と言われています。ただ、絶対そうしなければならない決まりはありません。地域によっては、月の初めと15日に盛り塩を取り替えるという風習もあるようです。
しかしながら、設置1日目にお風呂場でドロドロになれば、そのまま浴槽へ入れてご自身の浄化に使用しても良いですし、数日で黒っぽくなる、固まる、形が崩れるなど、気になる状態になれば、すぐに取り替えた方が良いともいわれています。
また、盛り塩は古くなったり状態が悪くなることで逆に邪気を呼び寄せることになりかねません。長期間置きっぱなしにしないよう心掛けましょう。
使用済みの盛り塩は「邪気」をたっぷり含んでいるとされます。
処分方法は以下の通りです。
・生ゴミとしてそのまま捨てる
・水場の近くにある古い盛り塩は、その場で流してしまって構いません。
【例】トイレに流す、シンクに流す、洗面台に流す
盛り塩を流す際は、ご自宅やご家族をお守り下さったお礼と敬意を込めます。「お役目ありがとうございます」と感謝しながら処分しましょう。
なお、やってはいけない盛り塩の処分方法としては、「食用として使用する」ということです。悪い気をたくさん含んだ塩を体に取り込まないよう、確実に処分することが大切です。
盛り塩を置くことで、悪い気を祓うほかにも運気が上昇するといわれています。しかし、ただ単純に盛り塩を置いたからといってすぐに効果が得られるというわけではありません。環境をきれいに整えて気持ちのよい空間作りを常に心掛けながら盛り塩を継続すれば、運気に上昇の兆しが現れてくることでしょう。
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