
公開日2022/11/11|最終更新日2026/08/07
近年、ご葬儀をご家族や近親者のみの「家族葬」で執り行い、後日、友人や知人、仕事関係の方々を招いて改めてお別れの場を設けるケースが増えています。これが「偲ぶ会(またはお別れの会)」です。
ご葬儀が「故人を弔い、送る儀式」であるのに対し、偲ぶ会は「故人を懐しみ、思い出を語り合う社交の場」としての側面が強くなります。宗教的な枠組みにとらわれない自由な形式であるからこそ、「何を着ていけばいいのか?」「お金はどう渡すべきか?」といった戸惑いが生じやすいのも事実です。
本記事では、偲ぶ会の基本概念から、参列時に恥をかかないためのマナーまでを深掘りして解説します。
偲ぶ会とは、宗教色にとらわれない、あるいは特定の儀礼に縛られず、自由な形式で故人様を追悼する集まりです。企業が主催する場合は「お別れの会」、個人が主催する場合は「偲ぶ会」と呼ばれることが多いですが、意味合いに大きな違いはありません。
ご葬儀の直後に行われることは稀で、一般的には四十九日 (忌明け)や、百箇日、あるいは一周忌といった節目の時期に合わせて開催されます。ご遺族様の心が少し落ち着き、準備に時間をかけられるようになってから行われるのが通例です。
偲ぶ会の多くは「会費制」を採用しています。
・ 会費の相場: 一人あたり10,000円~20,000円程度。
・ 設定の背景: 一般的なホテルの宴会場やレストランを会場とする場合、飲食代に記念品(返礼品) 代を加味して設定されます。会費制の場合、原則として香典を別途用意する必要はありません。
偲ぶ会には、その雰囲気によって大きく2つのタイプがあります。案内状からどちらの形式に近いかを判断することが大切です。
ご葬儀や告別式の流れを汲んだ、比較的厳かな形式です。
• 内容: 祭壇の前での献花、弔辞(お別れの言葉)、生前ビデオの放映などが中心となります。
• 場所: 葬儀場やホテルのホールで行われます。
• 特徴: 椅子席が用意され、プログラムに沿って進行します。食事は式典の後に別室で提供されることが多いです。
故人様を囲んで和やかに語り合う、明るい雰囲気の形式です。
・ 内容: 立食または着席でのビュッフェ形式が多く、決まったプログラムは最小限に抑えられます。思い出の写真パネルの展示や、故人様が愛した音楽の演奏など、演出も多種多様です。
• 場所: ホテル、レストラン、カフェなどが選ばれます。
• 特徴: 形式ばった儀礼よりも、参列者同士の交流や思い出話が主役となります。
一般的な偲ぶ会のタイムスケジュールをご紹介します。
会場に到着したら受付を行います。会費制の場合は、ここで会費を支払います。記帳を行い、プログラムや返礼品の引き換え券 (ある場合)を受け取ります。
司会者による開会の辞があり、全員で黙祷を捧げます。続いて、故人様の略歴紹介や、友人代表による「お別れの言葉」が述べられます。
仏教の焼香にあたるのが献花です。一人一輪のカーネーションやキクなどを祭壇に供えます。宗教色を排除しているため、左右どちらから置くかといった細かな作法に神経質になる必要はありませんが、心を込めて一礼し、供えることが大切です。
施主(主催者)の挨拶の後、「献杯」の発声で食事が始まります。
・ 注意点: 慶事の「乾杯」とは異なり、グラスをカチカチと合わせたり、大きな声を出したりするのは控えましょう。軽くグラスを目の高さに掲げるのがマナーです。
故人様の生前の活躍や趣味の姿をまとめた映像が流されることが多いです。この時間は、初対面の参列者とも故人様を通じて思い出を共有する、偲ぶ会ならではの貴重なひとときとなります。
閉会の挨拶の後、ご遺族様から参列者へ感謝の言葉が述べられます。出口で返礼品(引き出物)を受け取り、速やかに退出します。
最も多くの方が悩むのが「服装」です。案内状に書かれた言葉をどう読み解くかがポイントになります。
ここでいう平服とは「普段着」ではなく「略礼装」を指します。
• 男性:黒、紺、ダークグレーなどの落ち着いた色のスーツ。白シャツに、黒や紺、グレーなどの地味なネクタイを着用します。
・ 女性: 黒や紺、グレーのワンピース、アンサンブル、パンツスーツ。派手なアクセサリーや露出の高い服は避け、ストッキングは黒または肌色を選びます。
• 喪服指定: 迷わずブラックフォーマルを着用します。
・ 指定なし: 偲ぶ会が「一周忌法要」などと併せて行われる場合は喪服が望ましいですが、レストランやホテルでのカジュアルな会であれば、略礼装 (ダークスーツ)で伺うのが一般的です。
会費制の場合、お金は「不祝儀袋」に入れるべきか迷いますが、実は「封筒に入れず、そのまま(あるいは財布から出して) 渡す」のが受付をスムーズにするためのマナーとされています。
• お釣りが出ないよう準備するのが最もスマートです。
• もし封筒に入れる場合は、中身がすぐに確認できる白い封筒や、水引のないシンプルなものを使います。
「会費とは別に、どうしてもお気持ちを包みたい」という場合、案内状に「御厚志お断り」の文字がなければ、香典を持参しても構いません。
・ 表書き: 「御香典」または「御供物料」。
・ 金額: 会費とは別に5,000円~10,000円程度が相場ですが、あまり高額すぎるとご遺族様の負担になるため注意しましょう。
偲ぶ会は、ご遺族様にとっても「故人がこれほど多くの方に愛されていたのだ」と再確認できる救いの場です。
「この度はご愁傷様です」といったお悔やみの言葉はもちろんですが、偲ぶ会では「今日は素晴らしい会にお招きいただきありがとうございます」 「○○さん(故人) らしい、温かい会ですね」といった、前向きな感謝の言葉を添えるのが適しています。
特にパーティー形式の場合、久々に会う知人と話し込んでしまいがちですが、ご遺族様は一人ひとりに挨拶をしなければならず、大変お忙しい状態です。ご遺族様との会話は手短にし、全体の進行を妨げない配慮が必要です。
偲ぶ会は、厳しい戒律や作法を重んじる場ではなく、参列者一人ひとりの心の中にある「故人様との思い出」を共有する場です。
マナーを守ることはもちろん大切ですが、それ以上に重要なのは、故人様が好きだった音楽を聴き、好きだった食べ物を囲み、生前のエピソードを笑い、あるいは泣きながら語り合うことです。あなたが参列し、笑顔で思い出を語ることこそが、ご遺族様にとって最大の慰めとなります。
形式にとらわれすぎず、しかし節度を持って。故人様との「最期で最高の再会」を、心ゆくまで大切になさってください。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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