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2023-12-15

リビングウィルとは?事前指示書の書き方やメリット・デメリットを解説する

高齢化が進んでいる現代では、終活への注目度が高まってきています。終活とは、人生の終焉をスマートに迎えるための前向きな活動です。

終活の一環として、「リビングウィル」という書類の作成を考える方も増えてきました。リビングウィルとは、ご自身の終末期医療(延命治療)に対する意思表明を記した書面(事前指示書)のことです。つまりリビングウィルは、尊厳死や安楽死を希望する方にとって、重要な意味を持つ書類になります。

そこで当記事では、リビングウィルの詳しい解説と正しい書き方、リビングウィルを作成するにあたってのメリット・デメリットについてご紹介いたします。

リビングウィルとは?

リビングウィルは英語で「Living will」と書き、その意味は「生前に行う意思表示」です。元気なうちにご自身の延命治療についての希望を考え、書き記しておく書類のことを指します。

この書類があれば、突然の病気や怪我、事故などで回復の見込みが得られずに意思表示が叶わなくなっても、「辛い延命措置をやめてもらいたい」という本人の希望を、ご家族や医師へ伝えられるのです。

ただし、この書類は合法化されていないため、法的拘束力はありません。あくまで最後には、ご家族と医師との判断で延命措置の有無が決められることになりますので、それまでにご本人とご家族でしっかりと話し合っておくことが重要です。

尊厳死とは

尊厳死とは、平たくいうと「自然な死を待つ」ということになります。つまり、延命措置をやめて苦痛のみを取り除くケアに切り替え、人としての尊厳を保ったまま穏やかな死を待つという意味になるのです。

医療技術を駆使したとしても回復が望めない場合、「延命措置を用いながらベッドの上で生きながらえるだけの状況から解放されたい」といった希望を叶える一つの方法が、尊厳死なのです。

安楽死とは

安楽死は、尊厳死と似ているように感じる言葉ですが、実は大きな違いがあります。安楽死は、自然死を待たずに死を選択した患者に対し、医師が薬品などを用いて殺害する行為を指すのです。つまり、延命措置をやめて自然死を待つ形の尊厳死とは、全く違う処置になります。

現在における日本の法律では、安楽死をさせる行為が自殺関与・同意殺人罪(刑法 202 条)に該当するとみなされるため、安楽死の処置が患者の希望であっても処罰される可能性があるのです。

内閣府が国会に提出している年次報告書「高齢社会白書(平成29年版)」では、65歳以上の高齢者へ延命治療の希望を尋ねたところ、「少しでも長く延命治療をしてほしい」と考えている方がわずか4.7%であったと記されています。

また、延命治療だけを目的とした行為は望まず、自然な死を迎えたいと考えている方は全体の91.1%に達し、全体の9割を超える方が尊厳死を希望しているのだそうです。

ただし、いくら尊厳死や安楽死を希望する意見が多いからといって、患者を殺害する行為を国が法律へ安易に組み込むのは危険でもあります。なぜならば、過去のナチスで安楽死を称した障がい者の大量虐殺が起こったなどの事例があるためです。

法律の改正は、今後も社会への影響を含めて、じっくりと検討を重ねていかなくてはなりません。したがって今後も、尊厳死や安楽死への議論は慎重に続けられていくことでしょう。

エンディングノートとの違いは?

終活において、よく耳にするものの一つに「エンディングノート」があります。エンディングノートと、延命治療の希望などを綴ったリビングウィルとでは、一体どのような違いがあるのでしょうか。

エンディングノートは、ご自身の終末期、または死後の手続きに関する情報を書き留めておく書類です。主な情報としてはご自身の名前や生年月日、遺言書の有無、ご葬儀やお墓について、延命治療の有無、資産やパスワード、さまざまな方へのメッセージが綴られています。

エンディングノートの中にも延命治療の件は含まれていますが、リビングウィルのように延命治療に特化した内容ではなく、より広い範囲でさまざまな事柄が書かれているのです。

リビングウィルのメリット・デメリット

延命治療についての希望がある場合は、リビングウィルを作成しておくのが有効といわれています。では、リビングウィルを残した場合のメリットやデメリットを確認しておきましょう。

リビングウィルを書いておくことのメリット

リビングウィルの一番の役割は、患者自身の希望を叶えることです。主なメリットを、以下でご紹介いたします。

①ご自身の望む終末治療を受けられる

終末期の主な延命治療といえば、胃に穴を開けて直接栄養を流し込む「胃ろう」や、人工的に呼吸を起こさせる「人工呼吸器」です。認知症や脳死で意思の疎通すら敵わなくなれば、回復の見込みがないまま、延命治療が続けられることになるでしょう。ただし、リビングウィルがあれば、このような措置から苦痛を和らげる措置へ切り替えてもらえます。

②ご家族の負担を軽減できる

これ以上の延命治療を行っても、健康な姿へは戻せないと分かっていても、ご家族の判断で延命治療を止める決断を出すのは、非常に辛く難しいことです。しかしながら、あらかじめリビングウィルが提出されていれば、迷いのあるご家族への後押しとなるでしょう。

③ご家族との対話が増える

リビングウィルは、ご本人だけで作成できるものではありません。ご家族からいかにして同意を得るかが一番の大きな要となるのです。したがって、ご家族にご自身の望む終末期医療のありかたを伝え、納得してもらうことが必要になります。

結果、話し合いの中でご家族との有意義な時間を過ごせますし、ご家族は見送るための心の準備を整えることができるのも大きなメリットになるでしょう。

リビングウィルを書く際のデメリット・注意点

では、リビングウィルを作成するにあたってのリスクとはどのようなものになるのでしょうか。例えば、リビングウィルの項目に「呼吸停止後は、人工呼吸器の装着を拒否する」といった内容が記載されている場合、痰が気管に詰まっただけの場合でも、人工呼吸器での治療や吸引などの処置がしてもらえない可能性があります。

ただし、窒息の原因が痰詰まりであると確認できた場合、作成された書類に沿って何の処置もしないのは得策ではありません。このように、本人の意思疎通が叶わないままでリビングウィルに記載されていないハプニングが起こった場合でも、書類の影響で辛い最期とならないよう配慮する必要が出てくるのです。

したがって、患者に代わって誰が治療に対する決定を下すのかをあらかじめ決めて記載しておきます。また、本人を取り巻く環境や当人のお気持ちは日々変わっていくため、1~2年ごとに内容の見直しを行うようにしていくことも大切です。

リビングウィルを有効なものにするためのポイント

リビングウィルは、ご自身の延命治療希望の有無を知らせる大切な書類です。したがって、いざという時に相手へ伝わるような内容として文書に残す必要があります。ここでは、リビングウィルを有効なものにするためのポイントをお伝えしていきます。

家族の同意

先にも述べましたが、リビングウィルの作成にはご家族の同意が必要不可欠です。リビングウィルのひな型には、ご家族の同意欄、署名捺印欄が設けられているので、そこへ記載してもらえるよう丁寧に説明する必要があります。

ご家族の同意が得られなかった場合は、延命治療についての希望が叶えられない可能性が大きくなってしまうでしょう。

代理人

医療的な面で、感染症や窒息の危機など想定外の事態が起こった時、本人に代わって医療ケア変更の意思表示を行う「代理人」の存在が必要になります。

そこでリビングウィルには、指定した代理人を記載しておきます。代理人は子どもや配偶者、身寄りがない場合は、知人・友人でも指定が可能です。ご自身の考え方に一番近い方を選定し、署名捺印をいただいておくと良いでしょう。

リビングウィルの書き方・例文

では、リビングウィルの具体的な書き方や例文を見ていきましょう。

作成日

作成日とは、人生の最終段階における重要な書類の記載日にあたります。したがって、必ず自筆で記載しましょう。

延命治療・苦痛緩和についての希望

終末期医療には心臓マッサージや装着型の人工呼吸器、点滴や胃ろうなどの栄養補給措置、手術や人工透析、痛みや苦しみを緩和するためのケアなどがあります。そこでリビングウィルでは、希望の処置や希望しない医療行為を指定します。なお、書き方は以下の例文をご参照ください。

【例文1】

「大病に侵され回復が困難と診断された場合、延命だけを目的とした治療を行わないでください。また、苦痛を緩和するための医療ケアは有難くお受けいたします。」

【例文2】

「回復の見込みがない意識障害に陥った場合、生命維持のための措置は不要です。また、人工呼吸器、胃ろうの取り付け、輸血、昇圧薬の投与、人工透析、血漿交換の実施、鼻管の挿入も行わないでください。」

また、書類にテンプレートが記載されている場合は、その治療内容などにチェックマークを入れるだけで作成できる場合があります。追記するべきことがある場合は、さらなる記載が可能です。

責任の所在は本人にある旨

医療的ケアの拒否によって自然死へと至った場合、その全ての責任は本人が負う旨の一文を記載しておく必要があります。以下例文をご参照ください。

【例文】

書類の指示内容に従い行われた医療行為の責任は、全て私にあることを表明いたします。

本人の署名・捺印

作成日と同様、ご本人の署名も必ず自筆で行います。なぜならば、書類の内容がご自身の意志であることをしっかりと知らしめるためです。

証人の署名・捺印

指示書の証人にあたる方の署名欄にも自筆のサインが必要です。捺印も忘れずにお願いしましょう。

代理人の連絡先

いざという時、意思の疎通が難しくなったご本人に代わって、医療ケアの判断をゆだねられる人の連絡先を記載します。また、代理人の署名捺印があれば、書類の効力はさらに強いものとなるでしょう。

まとめ

いざ死が直前に迫ってきた時、一体ご自身がどのような状況になっているのかは計り知れません。死ぬ寸前まで意思の疎通ができるとは限らず、自分がどのような最期を遂げたいのかという意思を伝えることすら難しくなっているかもしれないのです。

ご本人の意思が伝わっていなければ、ご家族や医師は懸命に延命治療を行っていくほかありませんが、リビングウィルを作成しておくことで、辛い状況は一変できるかもしれません。もし、延命治療を望まないというご意思がある場合は、元気なうちに文書を作成しておくのが一つの手となるでしょう。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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