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2024-03-08

除夜の鐘の回数は、煩悩の数が由来?108ある理由や対処法を解説

大晦日になると、各地域の寺院で「除夜の鐘(じょやのかね)」を突くことが、日本の古くから続く風習です。なお、鐘を突く回数の108回は、煩悩の数として世間に広く知れ渡っています。しかしながら、除夜の鐘と煩悩の関係性や、鐘の回数にどのような意味があるのか、詳しく知っている方は少ないかもしれません。

そこで当記事では、除夜の鐘が108回鳴らされる理由と、煩悩に対する対処法について詳しく解説していきます。

除夜の鐘を鳴らす回数は、煩悩の数と言われる

大晦日に響き渡る除夜の鐘は、108回鳴らされます。鐘が突かれる回数は、人々の心に潜む煩悩(ぼんのう)の数です。除夜の鐘は、108の煩悩に人々が打ち勝てるよう、祈りを込めて鳴らされます。

ただし地域や寺院によっては、希望者の方々が全員鳴らし終わるまで打ち続けられることもあるので、回数は108回以上になることがあります。一方、地域によっては除夜の鐘突きが省略されることも少なくありません。

煩悩とは?

煩悩は、欲望や欲求を指す言葉として日常的に使用されていますが、除夜の鐘が指し示す煩悩は、仏教の教えから来ている言葉なので意味が変わります。仏教で伝えられている煩悩とは、人々の心身へまとわりつき、悩みの種となる心の動きを指します。つまり、人々を苦しめる精神作用のことなのです。

除夜の鐘と煩悩の関係性

人々が持つ欲求が満たされても、心の辛さまで消すことは難しいというのが、仏教の教えです。これを「有無同然(うむどうぜん)」といいます。美や権力、金など欲しいものを手に入れたとしても、人は決して幸せになれません。なぜならば、いくら物で満たされても心の渇きが止むことはないからです。

この辛い苦しみを、除夜の鐘を打ち鳴らしながら一つずつ消していこうという考え方が、除夜の鐘が始められたきっかけになったといわれています。

煩悩の数が108個あるとされている由来

煩悩の数は全部で108個とされていますが、その原点にはさまざまな説があります。ここでは、煩悩の数が決められた5つの由来を見ていきましょう。

六根(ろっこん)

仏教用語の一つに、六根という言葉があります。六根とは、人の意識や感覚を司る6つの根元のことで、目・耳・鼻・舌・身・意の総称です。六根(6つ)や、六根から受けたものに対するさまざまな感情、そして過去~未来の全てを掛け合わせると、感情の数の合計が108個になります。

四苦八苦(しくはっく)

日常で使用する四苦八苦は、物事が思い通りに進まず困り果ててしまうことを意味しますが、仏教での四苦八苦にはまた別の意味が込められています。

四苦は「生・老・病・死」を表し、八苦は「愛別離苦(あいべつりく)」「怨憎会苦(おんぞうえく)」「求不得苦(ぐふとくく)」「五陰盛苦(ごおんじょうく)」の4つの苦しみが、さらに四苦へ加えられたものです。

この苦しみの種類をそれぞれ掛けてみると、四苦は4×9=36、八苦は8×9=72となります。この答えを足してみると、36+72=108になり、これが煩悩の数とする説もあります。

十纏・九十八結(じってん・くじゅうはっけつ)

煩悩の数の算出方法として、十纏と九十八結を足したものであるという説があります。十纏は「無慚(むざん)・嫉(しつ)・無愧(むき)・悔(け)・眠(みん)・惛沈(こんじん)・慳(けん)・忿(ふん)・掉挙(じょうこ)・覆(ふく)」という人の悪心を指し示しています。

また、九十八結は人をこの世に執着させる98種の欲望の数です。この九十八結と、先に挙げた十纏を足すと、煩悩の数は108個となります。

暦の合計

煩悩の数を暦で算出する方法もあります。方法は、月数(12)と四季で一年を分ける「二十四節気/にじゅうしせっき(24)」、そして二十四節気をさらに細かく分けた「七十二侯/しちじゅうにこう(72)」を全て足した数が、108になることから、これを煩悩の数とするという考え方もあります。

数珠の珠の数

普段多くの方が使っているのは略式の数珠ですが、宗教ごとに正式なものと認められた数珠(本連数珠)があります。本連数珠には108個の主玉が使用されており、この一つ一つに百八尊や人々の煩悩が表されているのです。

そもそも数珠は、お釈迦様が108個のムクロジの実を繋ぎ、作成したことが始まりとされています。数珠の材料とされるムクロジの実は、お釈迦様の手から大日如来様や薬師如来様に配られました。そして、沸法僧三宝の名を唱えながら、108個を貫き通して輪を作れば、煩悩や業苦を消し去ることができるとの言葉が伝えられました。

この由来により、煩悩の数は108個であるという認識が広まったという説もあります。

108ある煩悩のなかでも、特に人を苦しめるとされる煩悩

さまざまな煩悩の中でも、特に人の心を苦しめる3つの煩悩があります。それは、貪欲(とんよく)・瞋恚(しんい)・愚痴(ぐち)です。この3つの煩悩は「三毒(さんどく)の煩悩」といわれており、社会全体に悪い影響を及ぼす強力な力があると恐れられています。

貪欲(とんよく)

貪欲は、過度な執着心や欲望を指します。多くの財産があっても、極上の美を手にしていても、さらに欲しがってしまうものです。このキリのない欲望は貪欲と呼ばれ、非常に強い煩悩とされています。

瞋恚(しんい)

瞋恚は、人の心に潜む憎しみや怒りを指します。自分の思い通りに事が運ばないと、人は怒りを覚えます。憎しみや怒りの感情は、抑制するのが非常に難しいものです。怒りに任せて行動すれば、人間関係が悪くなり、後に後悔する羽目になりかねません。

愚痴(ぐち)

愚痴は、恨みや妬み、嫉みを意味します。人は、自分が持っていないものを持つ方に対して、負の感情を抱いてしまいます。このような感情も、人の心を苦しめる煩悩の大きな要因となるのです。

煩悩にはどのように対処するべきか

心の平安を乱す煩悩は、誰の心にもあります。思い通りに行かず気持ちが苦しくなったり、さらに求めることで辛くなったりする心が煩悩というものです。

ただし、無理に煩悩を断ち切る必要はありません。なぜならば、煩悩は人が生きていく為に必要なエネルギーでもあるからです。自らの煩悩を見つめ、受け入れ認めることができれば、煩悩の暴走を止めて上手にコントロールしていけるでしょう。

まとめ

大晦日に鐘の音が響いてくると、新年を迎えるにあたって新たに気を引き締める一方で、何となく楽しい気持ちにもさせられます。

除夜の鐘の回数は、煩悩の数です。心に潜む煩悩を消失させるのは難しいですが、立ち向かうことはできます。この音色は、人々が煩悩に打ち勝つため、それぞれを戒める意思を思い起こさせてくれます。除夜の鐘は、煩悩を押さえ幸せを導くために考えられた、古来の人々の知恵だったのでしょう。


記事の制作・編集
セレモニーコラム編集部

60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。


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