
公開日2024/08/09|最終更新日2024/08/09
生前整理や終活などで、見落とされがちなのがデジタル遺品です。デジタル遺品とは、故人様がお持ちの携帯やパソコンなどでアクセスできる資産情報やSNS、思い出の動画や写真など、物理的な形のない遺留物のことです。
他者から見つけられにくいデジタル遺品は、放置すると後々の問題に繋がりやすくなります。そこで当記事では、デジタル遺品の詳細やトラブルの回避方法などについて、詳しくお伝えしていきます。
現代では、パソコンやスマートフォンで気軽に数多くの資産を管理できるコンテンツが重宝されています。そこから発生するのが、デジタル遺品です。
デジタル遺品のくくりに法律的な定義はありませんが、デジタル遺品は物理的に見えないが、故人様が遺したといえるデータや資産といえるでしょう。ここからは、デジタル遺品の具体例や生前整理の重要性を確認していきます。
デジタル遺品には、主に以下のようなものがあります。
パソコン、スマートフォンの中に保存されているデータのことです。インターネットに繋がなくても閲覧できる写真や動画、ダウンロードされたアプリなどを指します。
インターネットで繋がないとアクセスできないデータのことです。ネット銀行やネット証券、SNSアカウントなどがオンラインデータと呼ばれている資産です。
音楽や動画、本の読み放題、ウィルス対策などのサブスクアカウントも把握しておく必要があります。サブスクとはサービスを提供する代わりに、定期的に口座から引き落としがかかる仕組みです。
故人様が所有していたデジタル遺品は、物理的に触ることのできない遺品です。そこからご遺族がさまざまな情報を取り出すには、アクセスするためのパスワードやIDなどを知っておかなくてはなりません。
特にiPhoneは、防犯の観点からパスワードを10回間違えるとデータが全て削除される機能が備わっていますので、慎重な取り扱いが必要です。どうしてもパスワードが分からない場合は、専門業者へ頼む方法もあります。ただし、その場合は多額の手数料がかかることを覚悟しなければなりません。
また、端末へ何のロックもかけていなければ、全く関係のない方まで大切な個人情報が閲覧できてしまい、データが漏洩しやすくなります。デジタル機器の扱いには、ご遺族に迷惑のかからない手続きや、困らせないための書き置きが重要になります。
ここからは、デジタル遺品についてよく起こるトラブルについて解説していきます。
故人様が利用しているネット銀行やネット証券は、非常に分かりにくい資産です。特に証券についてはご家族に内緒で運営していたという事例も多く、後になって見つけられ、トラブルに発展することがあります。
遺産分配は遺産分割協議によって決められますが、後に埋もれていた資産が発覚すると、再度行わなければならなくなるのです。このような事態を防ぐためにも、資産は分かりやすく明示しておくと安心です。
故人様が使用されていた携帯の解除ができない場合や、解除できたとしてもデータに残っている方全員に訃報を伝えるべきなのか分からず、連絡に困るといったケースも多いようです。
もしもの時のために、訃報を知らせたいご親族やお世話になった方、親しくしていた方の情報をエンディングノートにまとめておくと、ご遺族もスムーズに行動できます。
定額サービス、いわゆるサブスクで定期的に引き落としがかかるサービスは自動解約されません。故人様の口座が凍結されると引き落としはかからなくなりますが、後になって多額の請求が届くこともあるため注意が必要です。
終活で、ご自身のサブスクや定期購入を再度確認することは非常に重要です。サイトのURLや解約方法を記しておけば、ご遺族を困らせずに済みます。
ハード機器のデータを開けられなかった場合、思い出の画像や動画を一切見られなくなってしまうかもしれません。ハード機器のアクセス方法は、SDカードやUSBメモリ、エンディングノートなどに書いて保管しておきましょう。データが膨大な場合は、クラウドストレージを利用して保存するのがおすすめです。
誰にでも見られたくない会話、プライベートな情報もあるかもしれません。そのようなデータを守るには、プライベートで使う機器と、仕事で使う機器を分けて使用するという方法があります。その場合、ご家族にはプライベートの機器を見ずに初期化してほしいと告げておきましょう。
ここからは、具体的なデジタル終活のやり方を簡潔にまとめていきます。
終活を始めるならば、まず必要となるのはエンディングノートです。エンディングノートは、終活に必要な事柄が項目ごとにまとめられているので、何から手をつけて良いのか冷静に判断できます。
エンディングノートは、書店や文具店、ネット通販などで購入できます。地域によっては無料配布しているところもあり、自作される方もいらっしゃるようです。内容をデータとして残したい場合は、エンディングノートのアプリなどもあります。
大切な動画やどうしても残しておきたい画像、遺影で使用するために撮ってきた写真などは、データだけでなく物理的な環境に残しておくのがおすすめです。
いざという時にすぐ取り出せる場所へ保管し、この写真を使ってほしいとエンディングノートに記載したり、周りへ伝えたりしておきましょう。
終活の機会に、サブスクや定期購入で解約したいものがあるかどうか、改めて確認してみましょう。継続する場合は、ご自身が亡くなった時に契約をすぐ解除できるよう、パスワードやIDをまとめて記載しておくと安心です。
プライベートな内容の文書や日記などは、ご家族にも見られたくない場合があるかもしれません。前述でデータ消去をご家族へ依頼する方法をご紹介しましたが、その他にデータ自体をロックしてしまうという方法もあります。
例えば、マイクロソフトのサービス内にある「個人用Vault」など、二段階認証が必要なフォルダに保存しておけば、パスワードを消去すれば解除できなくなるため安心して隠すことができます。
デジタル終活を行う上で重要なのは、ハード機器の解除方法を書き記しておくこと、ご家族に必要な情報は分かりやすい場所へ保存しておくこと、見られたくないデータはロックしておくことなどです。ご葬儀や相続の際にスムーズに動いてもらえるよう、生前のうちから準備しておくことをおすすめします。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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