
公開日2025/09/19|最終更新日2025/09/19
ご葬儀の日に雨が降ると、「涙雨(なみだあめ)」という言葉で深い悲しみが表されます。ただし、喪主やご遺族、参列者といった立場によって、その言葉の使い方やふさわしい場面は異なります。本記事では、涙雨の持つ意味や実際の使用例文に加え、雨天時のご葬儀におけるマナーについても解説いたします。
「涙雨」とは、「悲しみが涙となって降ったと思われる雨」のことです。気象用語ではなく、文学的・感情的な意味を持つ表現です。特に、ご葬儀の日や命日に雨が降ると、故人様を失ったご遺族の涙になぞらえて使われることがあります。
また、涙雨には「涙のようにほんの少し降る雨」といった意味もあります。
涙雨にはさまざまな意味がありますが、ご葬儀の場では前向きな解釈で用いられることが多いです。そこには、故人様を偲び、生前を懐かしむ参列者の思いが重ねられています。
【ご葬儀における涙雨の解釈】
・遺族や参列者の涙が雨となって降る
・天が故人様を悼んで流す涙
・故人様が参列者への感謝を込めて流す涙
なお、故人様が感謝を込めて涙を流すとされるのは、「最後のお別れに足を運んでくれた参列者への感謝の気持ちが雨に込められている」という考え方によるものです。
ここからは、喪主・ご遺族、そして参列者それぞれが涙雨をどのように言葉に表すのか、そのタイミングや例文をご紹介します。
喪主を務める場合、深い悲しみの中でも参列者へ挨拶をしなければならない場面があります。また、ご葬儀後に送るお礼状で涙雨を用いることもあります。その際は、故人様の旅立ちを前向きに受け止める表現を心がけるとよいでしょう。以下にシーン別の例文を示します。
【ご挨拶・お礼】(当日)
本日はお足元の悪い中、ご参列いただき誠にありがとうございます。
あいにくの天気となりましたが、まるで故人を偲ぶ涙雨のように感じております。
亡き母は、皆様にお別れを言えないことを寂しく思っていると同時に、さぞかし感謝していることでしょう。
故人に代わりまして、心からお礼申し上げます。
今後とも亡き母同様のご指導を賜りますようお願い申し上げ、これにてお礼の挨拶とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
【お礼状】(後日)
拝啓 ○○○○(故人様の名前)儀
静かに降る涙雨に包まれたお別れの日
共に手を合わせていただきありがとうございました
亡き父も皆さまのお心に支えられ安らかに旅立ったことでしょう
生前のご厚情に改めて感謝申し上げますとともに
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます
ここに生前のご厚誼を深く感謝申し上げますとともに
略儀ながら書中をもってお礼に代えさせていただきます
敬具 令和○○年○○月○○日
住所 東京都○○区○○1-2-3
喪主 ○○○○(氏名)
外 親戚一同
次に、参列者側の立場でお伝えする涙雨の使用方法をお伝えいたします。
【お悔やみの言葉】(当日)
突然のことで言葉も見つかりません。
本日の涙雨は、お父様を偲ぶ皆の想いが天に届いているかのようです。
心よりお悔やみ申し上げます。
【お悔やみメール】(後日)
ご葬儀後のお疲れの折にご連絡差し上げることをお許しください。
静かな涙雨の中で、ご尊父様を共にお見送りできたことは、今も深く心に残っております。謹んでお悔やみ申し上げます。
どうかご返信のことはお気になさらず、ゆっくりお休みください。
私にお手伝いできることがあれば、どうぞ遠慮なくお知らせください。
ご葬儀直後はご遺族も心身ともにお疲れのため、メールは翌日以降に送るのが望ましいでしょう。
ここからは、ご葬儀当日が雨になった場合のマナーを確認していきましょう。
持参する傘は、色合いの派手な物を避け、無地のブラックの傘がよく用いられます。手持ちで黒がなければ、濃いグレーや紺色の無地でも問題ありません。また、無地のビニール傘を使用してもマナー違反にはあたりません。
オススメ関連記事
雨のご葬儀にレインコートやブーツで会葬しても大丈夫?傘の色や柄は?
ご葬儀の日に降る雨を「涙雨」と言うように、お通夜式やご葬儀・告別式の執り行われる日が雨であることは珍しくありません。...
ご葬儀の日に降る雨を「涙雨」と言うように、お通...
続きを読む
雨の日は、落ち着いた色合いで無地のレインコートを使用しても差し支えありません。ただし、派手な留め具などは避け、シンプルなものを選びましょう。会場に着いたら必ず脱ぎ、袋に入れて受付へ預けます。その際、会場・受付の方が濡れないよう配慮することも大切です。
レインブーツもレインコート同様、暗めの無地を選びます。会場内ではご葬儀にふさわしいパンプスに履き替え、ブーツは袋に入れて受付へ預けましょう。
大雨の際は、靴下やストッキングが濡れたり破れたりすることもあります。予備を持参しておくと安心です。
また、濡れた鞄や体を拭けるタオルを用意しておくとよりスマートです。使用後はレインコートと同じ袋に入れ、受付に預けると良いでしょう。
ご葬儀は大切な儀式であり、天候によって日程が変わることはほとんどありません。雨の日には「涙雨」という言葉で故人様を偲ぶこともあります。あわせて、参列者として意識したいマナーも存在します。本記事が、悪天候下でのご参列に少しでもお役立ていただければ幸いです。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
近年、ご葬儀の形式は多様化しており、従来の一般葬だけでなく、一日葬や直葬、家族葬など、小規模なスタイルを選ぶ方も増えてきました。家族葬はその中でも、ご家族や近しい親族を中心に見送る方法として広く知られるようになっています。 とはいえ、家族葬を選ぶにあたり、参列者をどこまで呼ぶべきか、親戚への連絡をどうするかなど、悩みや迷いが生じやすいのも事実です。 本記事では、家族葬を検討する際に知っておきたいポイントとして、家族葬が選ばれる背景や注意点、参列者の範囲を決める際の考え方などを、できるだけ分かりやすく解説します。
最終更新日2025/11/28
離婚した元配偶者の親が亡くなったと知ったとき、ご葬儀に参列すべきかどうか迷う方は少なくありません。戸籍上はすでに他人となっており、「必ず参列しなければならない」という決まりはありませんが、それぞれのご家庭や人間関係によって事情はさまざまです。そのため、状況を踏まえたうえで、最終的にはご自身の判断が求められます。 本記事では、ご葬儀に参列するかどうかを決める際の考え方や、参列する場合の一般的なマナーや注意点について分かりやすく解説いたします。
最終更新日2025/09/26