
公開日2025/10/03|最終更新日2025/10/03
訃報は、突然知らされることが多いものです。そのため、急にご葬儀へ参列することになるケースも少なくありません。ご葬儀は、故人様とお別れをする最後の貴重な機会であり、参列する側も予定の見直しや会場までの移動時間を考慮する必要があります。
このとき大切になるのが、ご葬儀の日程や所要時間の把握です。本記事では、一般的なご葬儀にかかる時間とその流れについて、詳しくご紹介いたします。
ご葬儀にかかる平均的な所要時間は、ご遺族の方でおよそ5〜6時間、一般の参列者の場合は1時間前後が目安とされています。ただし、近年はご葬儀の形式や内容が多様化しており、規模や地域の風習、宗派によっても時間は大きく異なります。
本記事では、あくまで一般的なご葬儀の流れと所要時間についてご紹介いたしますが、実際にはご自身のご予定や故人様との関係性、移動距離などを考慮した上で、無理のないスケジュールを組むことが大切です。
ご葬儀の一般的な構成は、前日のお通夜、翌日の告別式、そして火葬という流れが基本です。それぞれの儀式に参列した場合の所要時間については、以下の表をご参照ください。
【喪主・ご遺族】
| 【1日目(お通夜)】 | 湯灌(ゆかん)・納棺~通夜式まで参列する場合 | 5~6時間 |
|---|---|---|
| 通夜式のみ参列する場合 | 3~4 時間 | |
| 【2日目(ご葬儀)】 | ご葬儀・告別式まで参列する場合 | 3~ 4時間 |
| ご葬儀・告別式~火葬まで参列する場合 | 4~5 時間 | |
| ご葬儀・告別式~精進落としまで参列する場合 | 6~7 時間 |
【一般参列者】
| 【1日目(お通夜)】 | 通夜式のみ参列する場合 | 1~1.5時間 |
|---|---|---|
| 焼香のみ行う場合 | 15~30分 | |
| 【2日目(ご葬儀)】 | ご葬儀・告別式~出棺まで参列する場合 | 1~1.5時間 |
1日目の夕方にお通夜、2日目にご葬儀・告別式が執り行われるのが一般的です。ただし、参列者の人数や葬儀社の進行方法、地域・宗派による違いなどにより、スケジュールが前後する場合もあります。
なお、一般参列者の立場で十分な時間が取れない場合でも、お通夜の受付で香典をお渡しし、ご焼香のみで帰ったとしても、マナー違反にはあたりません。
通常、お通夜では開式から30〜40分後に焼香が始まることが多いため、その時間に合わせて会場へ到着すれば、受付とご焼香だけで済ませることも可能です。この場合、滞在時間は15〜30分程度となります。ただし、参列者の人数や儀式の進行状況によっては、到着時にすでに焼香が終了している可能性もあるため、できる限り余裕を持って早めにお越しになることをおすすめします。
また、ご遺族は準備や対応などがあるため、一般参列者よりも多くの時間を見込んでおく必要があります。一方、一般参列者は式の時間に合わせて来場し、焼香後に退席できるため、所要時間は比較的短く済みます。このように、立場によってご葬儀への関わり方が異なるため、所要時間にも差が生じます。
一日葬とは、その名の通り、告別式と火葬を1日で執り行うご葬儀であり、お通夜は行われません。家族葬とは異なり、参列者を限定しない場合もありますが、お通夜を省く点を除けば、当日の進行や所要時間は一般葬とほぼ同様です。
一般参列者の場合は、受付から出棺までの参列となり、所要時間はおよそ1~1.5時間程度です。一方、火葬場まで同行される喪主やご遺族の方は、4〜5 時間程度を見込んでおくとよいでしょう。
火葬式(かそうしき)は、「直葬(ちょくそう)」とも呼ばれ、お通夜や告別式を行わず、火葬と収骨のみで構成されるご葬儀です。所要時間はおよそ3〜4時間で、ご遺体を安置後、直接火葬場へ搬送されます。
参列者はご遺族やごく近しい親族に限られ、お別れの時間も短めですが、費用を抑えられる点が特徴です。なお、希望があれば僧侶による読経を依頼できる場合もあるため、葬儀社や火葬場に相談してみるとよいでしょう。
ここからは、ご葬儀で行う儀式ごとの流れや所要時間の詳細を見ていきましょう。
お通夜(読経・焼香)は、一般参列者の場合、所要時間は約1〜1.5時間が目安です。流れとしては、受付後に着席し、僧侶の読経が始まると、喪主から順に焼香が行われます。その後、 僧侶の退場、 閉式となります。参列者数や進行状況により、多少前後することもあります。
通夜振る舞いがある場合は、さらに1時間程度追加で見込んでおきましょう。
一般参列者が告別式に参列する場合、受付後は控え室で待機し、開式とともに式場へ案内されます。
その後、僧侶による読経が始まり、喪主に続いて参列者全員が焼香を行います。焼香の後には弔辞や弔電の奉読が行われ、閉式の挨拶となります。全体の所要時間は約1〜1.5時間が目安です。
大規模なご葬儀では焼香の時間が延びることもあるため、余裕を持っておくと安心です。なお、食事の案内があった場合は、故人様へのご供養として少量でも頂くのがマナーです。
花入れの儀は、告別式の終了後に行われる儀式で、所要時間はおよそ30分程度です。スタッフが祭壇から棺を下ろしたタイミングで始まり、参列者は用意されたお花を受け取り、故人様の棺の中へ丁寧に手向けます。
お花を入れる際は、故人様のお顔に花がかからないよう注意し、心を込めて最期のお別れをしましょう。花入れの儀は、故人様と顔を合わせることができる、貴重な時間でもあります。
花入れの儀が終わると、棺のふたが閉じられ、霊柩車へと納められます。ご遺族は故人様とともに火葬場へ向かい、一般参列者は会場の外で静かにお見送りを行います。このとき、数珠を左手にかけて合掌し、一礼して故人様を見送りましょう。
出棺後、喪主やご遺族は故人様とともに火葬場へ向かいます。到着後は「納めの式」と呼ばれる最期のお別れを行い、棺が火葬炉に納められます。その後、参列者は控え室で待機し、火葬が行われます。
火葬そのものにかかる時間は一般的に約1時間程度ですが、火葬場までの移動時間や、儀式までの待機時間を含めると、全体で1〜2時間程度を見込んでおくとよいでしょう。
待機中には、お茶やお菓子、お斎(食事)が振る舞われることもあります。火葬終了後は拾骨が行われ、遺骨を骨壺に納めて儀式が完了します。
火葬場まで同行された方々に振る舞われる食事を「精進落とし(しょうじんおとし)」と呼びます。かつては忌明け後に行うものでしたが、現在では参列者への感謝の意味を込めて、火葬後すぐに実施されるのが一般的です。
所要時間は1~2時間程度で、火葬場や近隣の会食会場、自宅など場所はさまざまです。近年では省略されることもあるため、実施の有無や時間を事前に確認しておくと安心です。
ここからは、お通夜とご葬儀・告別式の二日間にわたる一般葬のスケジュールを、時間帯ごとにご紹介します。あくまで一例ですので、実際の進行は葬儀社や会場スタッフの案内に従ってご対応ください。
お通夜の30分~1時間前に受付が開始されます。喪主やご遺族は、受付開始の1時間前には会場に到着し、参列者を迎える準備を整えておきましょう。
参列者は時間に余裕を持って会場へ向かい、受付でお悔やみの言葉を伝えた上で香典をお渡しします。ご遺族と親しい関係にある場合は、「何かお手伝いできることはありますか」と一言添えると丁寧です。
僧侶が斎場に到着すると、お通夜が始まります。所要時間はおおよそ1時間程度が一般的です。
読経が始まりましたら、静かに耳を傾け、指示に従って焼香を行いましょう。焼香の時間は参列者の人数によって前後する場合があります。読経の後には、僧侶による法話が行われることもありますので、敬意をもって耳を傾けましょう。
所要時間は、一般的に1時間〜1時間半です。ご遺族から通夜振る舞いへのご案内があった場合は、可能な範囲で参加するのがマナーとされています。たとえ時間に余裕がなくても、一口だけでも頂いてから退席するのが丁寧な対応です。
喪主やご遺族は、お通夜と同様に、告別式開始の1時間前には会場に到着しておくのが一般的です。式場は通常、お通夜と同じ会場が使用されます。開始までの間は、案内された控え室で待機し、担当者からの指示を待ちましょう。
参列者は受付を済ませた後、会場スタッフの案内に従って席に着くか、控え室で待機します。その後は、進行に応じて読経や焼香に参加し、静かに故人様を偲びましょう。
告別式の所要時間は一般的に30〜40分程度ですが、参列者の人数や焼香の進行によって前後する場合があります。
僧侶が退場し式が閉式されると、故人様の棺が祭壇から下ろされ、花入れの儀が行われます。お花を手向けた後は、棺のふたが閉じられ、蓋が開かないよう縁に釘を打つ「釘打ちの儀」が行われることもあります。ただし、ご遺族の心情に配慮して省略されることもあり、この一連の流れにはおおよそ30分程度を要します。
その後、棺は霊柩車へと納められ、喪主やご遺族は故人様とともに火葬場へ向かうため、霊柩車やマイクロバスに乗車します。
一般参列者は、会場の外でお見送りを行います。冬場はコートを脱ぎ、夏場でも上着を羽織るなど、服装を整えて故人様に敬意を表しましょう。霊柩車が出発する際には、左手に数珠をかけ、静かに合掌し、一礼してお見送りします。
火葬場に到着すると、棺は火葬炉の前に安置され、参列者による焼香が行われます。その後、棺が火葬炉へ納められ、参列者は控え室で待機します。火葬にかかる時間は通常1〜2時間程度です。
火葬後は、遺骨を骨壺に納める「骨上げ」が行われます。形式は地域や宗派によって異なりますが、所要時間はおおよそ30分〜1時間程度と見ておきましょう。
火葬の待ち時間や終了後に精進落としという食事が振る舞われることがあります。冠婚葬祭の簡略化傾向にある近年では、精進落としが行われないケースも増えています。
ご葬儀にはさまざまな方式がありますので、所要時間もさまざまです。訃報を受けた際には斎場へのご案内も伺えることが多いでしょう。そこでご葬儀の形式が分かれば大体の所要時間も掴めるはずです。
ご葬儀は、故人様と最期のお別れを行う「ただ一度きり」の尊い機会です。前もって時間や流れの予備知識を入れておけば、いざという時に予定が組みやすく、すぐに駆けつけやすくなることもあります。落ち着いた気持ちで故人様と向き合うために、当記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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