
公開日2025/10/03|最終更新日2025/10/03
火葬は、ご葬儀の締めくくりとなる大切な儀式です。火葬炉の前で故人様に焼香し、最期のお別れをした後、ご遺族はご遺体が荼毘に付され、ご遺骨になるまでの数時間を待合室で過ごすことになります。大切な方を見送る時間はどうしても長く感じ、つらいものですが、この時間をどのように過ごせばよいのでしょうか。
この記事では、火葬にかかる待ち時間とその流れについて分かりやすくご紹介します。
火葬にかかる時間は、ご遺体を焼却してからご遺骨が冷めるまでを含みます。一般的には大人で1〜2時間ほど、子どもの場合は30〜50分程度が目安です。ただし、副葬品の量や故人様の体格によって、所要時間は変わることがあります。
ペットの火葬時間も大きさによって異なります。小鳥やハムスターのような小さな動物であれば20分程度、中型犬であれば1時間ほどが一般的です。法律上、ペットを必ず火葬しなければならないわけではなく、自宅の敷地内であれば土葬も認められています。
しかし、自宅での土葬は腐敗による臭いや害虫の発生といったリスクがあり、近隣トラブルにつながる可能性もあります。さらに、自宅敷地以外に埋めると不法投棄と見なされ、法律違反となってしまいます。そのため、土葬はあまりおすすめできません。
大切なペットを見送る際は、ペット対応の火葬場で火葬を行い、ご遺骨を敷地内に埋葬したり、ペット霊園へ納めたりするのが安心です。あるいは、専門の葬儀社に相談するのも良い選択肢でしょう。
火葬とは、故人様のご遺体を弔うために高温で焼却し、ご遺骨として残す葬送方法です。現代の日本では、亡くなってから24時間以上経過した後に火葬を行うのが一般的で、その際には遺影や位牌、ご遺体、そして火葬許可証が必要となります。
かつて昭和初期までは、日本では土葬が主流でした。土葬とは、ご遺体を棺に納めたまま埋葬する方法です。しかし、衛生面での問題や伝染病予防、さらに土地不足といった現実的な理由から、明治時代以降は火葬が必要とされるようになり、全国へ広がっていきました。その結果、衛生環境の改善や土地の有効利用にもつながったのです。
なお、当初の火葬は高貴な人物に限られて行われていましたが、仏教においても故人の魂を新しい世界へ送り出す「前向きな儀式」として位置づけられていたため、多くの人々に受け入れられやすかったと考えられます。
現在でも、土葬が法律で完全に禁止されているわけではありません。ごく一部の地域では、風習や事情によって土葬が認められているケースも存在します。
火葬中の過ごし方は、火葬場によって異なります。ロビーでそのまま待つ場合もあれば、待合室へ案内される場合もあります。親族が一堂に集まる機会はそう多くありませんから、この待ち時間を「大切な人と共に過ごす時間」として考えることも意味があるでしょう。
それでは、具体的にどのように過ごせるのかを見ていきましょう。
控え室には、多くの場合、お茶やお茶菓子、軽食などが用意されています。参列者はそれらを口にしながら互いの近況を交わしたり、故人様との思い出を語り合ったりするのが一般的な過ごし方です。こうした時間は、参列者同士の交流を深めるとともに、故人様を偲ぶ場としての意味合いも持っています。
ただし、深い悲しみのため会話をすることが難しい場合には、無理に周囲に合わせる必要はありません。お茶や菓子を少し口にする、あるいは静かに他の参列者と同じ場を共有するだけでも、自然と気持ちが落ち着くこともあります。大切なのは、形式にとらわれすぎず、無理のない範囲で過ごすことです。
火葬場の控え室には、ご遺族の中心となる方々が集まります。そのため、今後の予定について意見を交わす機会として活用することも可能です。例えば、四十九日法要や納骨、年忌法要といった大切な行事のスケジュールを確認しておくのは有意義でしょう。
ただし、話題の選び方に注意が必要です。特に、ご葬儀の費用や香典、遺産などのお金に関わる話題は、不適切と受け取られやすいため避けるのが礼儀とされています。その場にふさわしい内容にとどめ、故人様を偲ぶ気持ちを大切にすることが望ましいでしょう。
かつて日本では、故人様が亡くなってから四十九日を迎えるまでの忌中の間、ご遺族は肉や魚といった殺生を伴う食材を避け、精進料理をいただきながら喪に服する習慣がありました。そして、四十九日法要で喪が明けた際に、日常の食事へ戻るきっかけとして供されたのが「精進落とし」と呼ばれる食事です。
現在ではこの風習を守る方は少なくなりましたが、「精進落とし」という名称は今もなお残されています。現代のご葬儀において精進落としが振る舞われる主な目的は、参列してくださった方々や僧侶を労うためであり、かつての意味合いとは大きく異なります。
精進落としのタイミングは、ご遺族の意向や葬儀社の進行によりさまざまですが、火葬中の待ち時間に控え室などで振る舞われることが一般的です。料理は葬儀社が手配する場合もあれば、ご遺族が独自に用意する場合もあります。そのため、火葬場で精進料理を出す予定がある場合は、事前に葬儀社と料理内容や提供場所について確認しておくと安心です。
ここからは、火葬の流れについてご説明します。以下はあくまでも一般的な手順ですが、全体の流れを把握しておくだけでも、当日の行動に落ち着きを持てるでしょう。なお、会場の担当者やご葬儀社から具体的な案内があった場合には、その指示に従うことが大切です。
ご葬儀の出棺式が終わると、喪主をはじめご遺族やご親族、故人様と特に縁の深い方々が火葬場へ向かいます。先頭の霊柩車には棺や位牌を持った喪主とスタッフが乗り、その後ろを他のご遺族やご親族が別の車両で続くのが一般的な流れです。
ただし、霊柩車の種類や地域の慣習によっては、喪主が霊柩車に同乗せず、他のご遺族と同じ車に乗って後ろから付いていく場合もあります。そのため、事前にご葬儀社へ確認しておくと安心です。
火葬場に到着したら、まず受付で「火葬許可証」を提出します。これは役所に死亡届を提出した際に交付される大切な書類で、紛失してしまうと火葬を行うことができません。葬儀社によっては、この火葬許可証の保管や提出を代行してくれる場合もありますが、事前に依頼の有無を確認しておくと安心です。
火葬炉の前に棺が安置され、位牌と遺影が飾られると、「納めの式」と呼ばれる儀式が行われます。これは故人様と直接向き合い、最後のお別れをする大切な場面です。およそ10分の間、僧侶による読経があり、その後、喪主から順に焼香を行います。 (読経が無い場合もございます。)
参列者全員の焼香が終わると、棺は火葬炉へ納められます。扉が閉じられた後は、その前に位牌と遺影が飾られます。点火のスイッチは、喪主が押す場合と火葬場の担当者が行う場合があります。点火後、参列者は控え室へ移動し、ご遺体がご遺骨になるまで静かに待機します。
火葬が終わると、担当者が控え室へ知らせに来て、ご遺骨が安置されている場所へ案内されます。ここで行われるのが収骨です。
収骨では、喪主をはじめ故人様と縁の深い方から順に骨壷へご遺骨を納めていきます。最後には、喉仏の骨を喪主が骨壷に納め、収骨が締めくくられます。
火葬が終わると、火葬済証明印が押された火葬許可証が返却されます。これは、ご遺骨をお墓へ埋葬する際に必要となる「埋葬許可証」となる重要な書類で、決して紛失してはいけません。
多くの場合、業者が「なくさないように」と骨壺を包むケースに火葬許可証を一緒に収めて渡してくれるため、そのまま骨壺とともに保管すると安心です。これで火葬の手続きはすべて終了となります。以後は、火葬場で食事を伴う場合もあれば、そのまま解散する場合、あるいは参列者全員で会食に向かう場合など、対応はご遺族の判断や地域の習慣によって異なります。
火葬の待ち時間は、一般的におよそ1時間程度といわれています。ただし、実際にはご遺体の状況や体格、副葬品の有無、火葬炉の性能などによって前後します。火葬中は、ご遺族やご親族が火葬場に集まり、ご遺骨になるまでの時間を共に過ごすことになります。
待ち時間の間には、精進落としやお茶菓子が振る舞われることもありますが、故人様との思い出を語り合いながら静かに時を過ごし、そのご冥福を祈ることが、最も大切な過ごし方といえるでしょう。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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