2020-05-01
家族やお身内など大切な方を亡くされた喪主やご遺族に、ご葬儀の最中、会葬者から「この度はご愁傷様です」とお悔やみ言葉をかけてもらう場面が多くあります。弔事の場で述べられる基本的なお悔やみの言葉として、最も頻繁に使われている「ご愁傷様」という言葉には、どのような意味を持ち、また適切な返答などはあるのでしょうか。
そこで今回は、ご愁傷様の意味と適切な返答についてご紹介します。
「ご愁傷様」に代表される弔事におけるお悔やみの言葉とは、亡くなった故人様を悼んでご遺族を思いやるために掛ける言葉のことであり、ご葬儀で取り込んでいるご遺族を慮って、ごく短く簡潔に述べられます。
ご葬儀におけるお悔やみの言葉は、ご遺族の元に弔問で会葬者が訪れた際やお通夜式やご葬儀・告別式の受付で香典を受け取る際に使われ、「この度はご愁傷様です」というお悔やみ言葉が最もよく使われます。
ご葬儀中の焼香や会食中、ご遺族のそばに通った会葬者がお悔みの言葉を掛ける場面もあり、いずれのタイミングも会葬者がご遺族へ思いやりの気持ちを持って哀悼の意を伝えるのがお悔やみ言葉です。
お悔やみ言葉に関しては以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご参照ください。
もう迷わない「お悔やみの言葉」。知っておくべきマナーや注意点
お通夜式やご葬儀・告別式の場で述べる基本的なお悔やみの言葉として、最も頻繁に使われている「ご愁傷様です」とは、「愁」は憂いの心情を、「傷」は痛みを表し、「愁傷」とは心の傷を憂いていますという意味を持ちます。大切な方を亡くされて気の毒に思っています、という相手への慰めや同情を表しているのです。
ご遺族に対してお悔やみの言葉を掛ける時は「この度はご愁傷様です」とお伝えします。「この度はご愁傷様でございます」ならば、さらに丁寧な言い方になります。
ご愁傷様です、には最上の敬意表現である「御」「様」が使われているため、ビジネスシーンで目上の方に対して使うことも可能です。また、お通夜やご葬儀の場でなくとも、相手のお身内にご不幸があったことをその場で知った時なども「ご愁傷様です」とお悔やみの言葉を掛けても問題ありません。
注意したいのは「ご愁傷様です」が話し言葉のみの表現であることです。文面で使うことは違和感があり不適切ですので、気を付けましょう。
「ご愁傷様です」に対するご遺族の返答として、一般的な返答の仕方は以下の言葉になります。
・恐れ入ります
・ご丁寧にありがとうございます
・お心遣いありがとうございます
・生前はお世話になりました
・痛み入ります
「恐れ入ります」は、「ご愁傷様です」に対する最も無難な返答です。恐縮しているという意味を含みますので、上司などの目上の方に対しても使うことのできる返答になります。
返答例
・ご丁寧に恐れ入ります。
・本日はお足元の悪い中を、遠方よりお越しいただきまして恐れ入ります。
「ありがとうございます」のみでは言葉が足りないと感じる時は、「ご丁寧にありがとうございます」と返答しましょう。目上の方や上司など会社関係の方への返答でも「ご丁寧に」をつけることで、より敬意を表すことができます。
返答例
・ご丁寧にありがとうございます。母の生前は大変にお世話になりました。
・ご丁寧にありがとうございます。本日はご多用のところを佐藤様にお越しいただきましたこと、父もあの世でさぞ感謝していることと感じます。
「お心遣いありがとうございます」は、先方がこちらに対して気遣ってくれたことに感謝を表す時に使われます。そのため、香典をいただいた時やお悔やみ状の文章中でも使用して構いません。
返答例
・お心遣いありがとうございます。
・お心遣いありがとうございます。今頃故人もどんなに喜んでいることと存じます。
故人様が存命の時にお世話になった方に対し、ご遺族が相手に謝意を伝える時に使われます。「ご愁傷様です」への返答として単独で使うことはせずに、まず「お心遣いありがとうございます」「恐れ入ります」と述べ、それから「生前はお世話になりました」と続けましょう。
返答例
・お心遣いありがとうございます。生前は母が大変お世話になりました。
・恐れ入ります。生前は祖父がお世話になりました。
「痛み入ります」とは、あなたの親切や好意に恐縮していますという意味であり、「恐れ入ります」と似た表現ではありますが、「痛み入ります」の方がよりかしこまった印象の言葉になるため、相手と関係が近い時は「恐れ入ります」の方が相応しい返答になります。
返答例
・ご丁寧に痛み入ります。
・●●様のお気持ち、誠に痛み入ります。
冒頭でも述べましたが、「ご愁傷様です」とは、大切な方を亡くされて気の毒に思っています、という相手への慰めや同情を表しています。悲しみにくれるご遺族の気持ちに寄り添い、その場に適した正しい言葉をお伝えし、故人様やご遺族に対して不快感を与えないようにすることが大切です。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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