
公開日2020/05/01|最終更新日2026/02/19
ご家族やご親族など、かけがえのない大切な方を亡くされた喪主やご遺族様。その深い悲しみの中にいる相手に対し、私たちがかける言葉として最も代表的なのが「この度はご愁傷様でございます」というお悔やみの言葉です。
弔事の場において、当たり前のように使われているこの「ご愁傷様」という言葉。しかし、その正確な語源や、目上の方に使っても失礼にならないのか、あるいはメールで使っても良いのかといった細かなルールについては、意外と自信がない方も多いのではないでしょうか。また、遺族側としてこの言葉をかけられた際、どのような言葉で返すのが最も自然で失礼がないのかも、知っておくべき大切な教養です。
今回は、「ご愁傷様」の言葉に込められた真意から、シーン別の正しい使い方、そして遺族としての返答の作法まで、弔事マナーの決定版として詳しくご紹介します。
「ご愁傷様」という表現を詳しく知る前に、弔事における「お悔やみの言葉」そのものの役割を理解しておく必要があります。
お悔やみの言葉とは、亡くなった故人様を悼む (哀悼の意)と同時に、残されたご遺族様の深い悲しみに寄り添い、思いやるためにかけられる言葉です。ご葬儀の場では、ご遺族様は精神的なショックに加え、慣れない儀式の手続きや弔問客への対応で心身ともに極限の状態にあります。そのため、お悔やみの言葉は「ごく短く、簡潔に、控えめな声で述べる」のが鉄則です。
・ 受付にて:香典を差し出す際、受付担当者(またはご遺族様)に対して。
・ 弔問の際:自宅や式場で初めてご遺族様と対面した際。
・ 焼香の前後:遺族席の前を通る際や、黙礼をする際。
・ 会食中:ご遺族様のそばに寄り、一言挨拶を交わす際。
いかなるタイミングであっても、会葬者が「ご遺族様の負担にならないこと」を第一に考え、哀悼の意を伝えるのがお悔やみ言葉の本来の姿です。
「ご愁傷様(ごしゅうしょうさま)」という言葉を分解して読み解くと、その深い思いやりが見えてきます。
・「愁(しゅう)」:心の憂い、悲しみ、嘆きを表します。「秋」の下に「心」と書く通り、静かに沈み込むような深い悲哀を指します。
・「傷(しょう)」:心が傷つくこと、痛みを表します。
・「愁傷(しゅうしょう)」:「心の傷を憂う」という意味。つまり、「あなたが負った心の傷を、私も同じように悲しみ、案じています」というメッセージが込められています。
「ご愁傷様」には、接頭辞の「御(ご)」 と接尾辞の「様(さま)」が付いています。
これは相手の悲しみそのものを敬い、それほどまでに大きな悲しみの中にいる相手を最大限に尊重する日本語独特の表現です。「大切な方を亡くされて、お気の毒に存じます」という同情と慰めの気持ちを、極めて丁寧な敬語に昇華させた言葉なのです。
「ご愁傷様です」は汎用性が高い言葉ですが、守るべき重要なルールがあります。
ここが最大の注意点です。「ご愁傷様」は原則として「話し言葉(口語)」です。対面での挨拶や、電話での会話で使用するのは全く問題ありませんが、弔電(電報) やお悔やみの手紙、メールなどの「書き言葉(文語)」で使用するのは不適切とされています。
・「ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます」
・「突然の悲報に接し、誠に惜別の念に堪えません」
「ご」と「様」が付いていることから、最上の敬語表現とみなされます。そのため、会社の社長や上司、取引先の相手など、目上の方に対して使っても失礼にはあたりません。より丁寧に伝えたい場合は、「この度は、誠にご愁傷様でございます」と語尾を伸ばすことで、より深く落ち着いた印象を与えることができます。
お通夜や告別式の会場でなくても、相手の身内に不幸があったことを初めて知った瞬間(オフィスや外出先など)に「この度はご愁傷様です」と伝えるのは非常に自然で、正しいマナーです。
※注意:皮肉としての使われ方に配慮する
近年では、軽い失敗をした友人に対して「それはご愁傷様(笑)」のように、からかいや皮肉としてこの言葉が使われることがあります。そのため、若い世代の中にはこの言葉にネガティブな印象を持つ人も稀にいます。しかし、本来の弔事の場では極めて格調高い言葉ですので、自信を持って、「落ち着いたトーンで、心を込めて」発するようにしましょう。
もしあなたがご遺族様側 (受け手)になった際、「ご愁傷様です」と言われたらどう答えればよいのでしょうか。悲しみと疲れの中で言葉が出てこないこともありますが、基本的には「短く感謝を伝える」だけで十分です。
以下に、状況に応じた適切な返答例を挙げます。
最も一般的で無難な返答です。「わざわざお悔やみをいただき、恐縮です」という意味が含まれます。上司などの目上の方から声をかけられた際にも最適です。
・ 返答例:「ご丁寧に、恐れ入ります。」「お運びいただき、恐れ入ります。」
「ありがとうございます」だけでは事務的に感じる場合、「ご丁寧に」を添えることで敬意が深まります。
・ 返答例: 「ご丁寧にありがとうございます。母も喜んでいると思います。」
相手が自分の体調や状況を気遣ってくれていると感じた際、あるいは香典をいただいた際などに使います。
・ 返答例: 「お心遣いありがとうございます。痛み入ります。」
故人様と生前親交があった方から声をかけられた際に、ご遺族様として最も伝えたい言葉の一つです。他の返答に続けて述べるとスムーズです。
・ 返答例:「恐れ入ります。生前は父が大変お世話になりました。」
「恐れ入ります」 よりもさらに入り組んだ、深い感謝と恐縮を表す言葉です。格式高い表現であり、特に目上の方や、わざわざ遠方から来てくださった方に対して使うと、感謝の深さが伝わります。
・ 返答例:「ご丁寧に痛み入ります。どうぞお気をつけて。」
ご葬儀の場では、必ずしも完璧な敬語を話すことだけが正解ではありません。
「この度はご愁傷様で・・・・・・」と語尾を少し濁すように頭を下げる。これは、あまりの悲しみに言葉が最後まで出ない、という「悲しみの共有」を表す立派な作法です。無理にハキハキと喋る必要はありません。
もし言葉が出てこなければ、深く静かに一礼 (黙礼) をするだけでも弔意は伝わります。ご遺族様も言葉を求めているわけではなく、あなたの「悼む心」を求めています。
「ご愁傷様です」に続けて何か言葉を添える際、以下の「忌み言葉(いみことば)」を避けるよう注意してください。
・ 重ね言葉 「ますます」 「いよいよ」 「重ね重ね」「たびたび」。不幸が重なることを連想させます。
・ 直接的な言葉 「死ぬ」「生きている時(→ご生前)」「急死」。
・ 生死を問う言葉 死因を根掘り葉掘り聞くのは最大のマナー違反です。
「ご愁傷様です」という言葉は、大切な人を失い、心に深い傷を負った方に対し、「あなたの痛みを私も案じています」と伝えるための、慈しみに満ちた言葉です。故人様を偲びご遺族様にどう寄り添っていくかという、あたたかな心遣いにあります。
悲しみの淵にいるご遺族様の気持ちを第一に考え、正しいマナーでその心に寄り添うこと。その誠実な姿勢こそが、故人様への何よりの供養となり、残された方々への力強い支えとなるはずです。
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