
公開日2020/12/04|最終更新日2026/02/13
大切な方の訃報に接した際、私たちは言葉を失います。しかし、社会人として、また一人の人間として、故人様を悼みご遺族様をお褒めする言葉を届けなければならない場面は必ず訪れます。
その際、多くの人が迷うのが「逝去(せいきょ)」と「死去(しきょ)」の使い分けです。どちらも「人が亡くなったこと」を指す言葉ですが、その立ち位置は180度異なります。使い方を誤ると、意図せずご遺族様にご迷惑をおかけしたり、常識を疑われたりするリスクもあります。
本記事では、これら二つの言葉の厳密な違いから、状況に応じた言い換え、さらには電話・メール・対面といったシーン別の具体的なお悔やみの伝え方まで、徹底的に解説します。
「逝去」は、死を意味する言葉の中でも最高位の敬語表現にあたります。
「逝去」の「逝」という字には「ゆく(去る)」という意味があり、文字通り「この世から去ってゆく」ことを表します。これは単なる事実としての死ではなく、亡くなった方への深い敬意を込めた「尊敬語」です。
基本的に、身内以外の人間 (第三者や敬うべき相手)が亡くなった際に使用します。
・恩師や上司、取引先の方が亡くなったとき
・友人のご家族が亡くなったとき
・ニュースや新聞の訃報記事(客観的な報道でありつつ、社会的な敬意を表すため)
よくある間違いとして「ご逝去されました」という表現があります。「逝去」自体が尊敬語であり、さらに「ご〜される」という尊敬の補助動詞を重ねるため、厳密には二重敬語となります。
しかし、現代の慣習としては「ご逝去(ごせいきょ)」という形が最も一般的であり、ご遺族様に対して「○○様がご逝去されたと伺い・・・・・・」と伝えるのは、敬意が深く伝わるため決して間違いではありません。
・最も丁寧な例: 「○○様のご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます」
・話し言葉での例: 「ご逝去と伺い、驚きを隠せません」
一方の「死去」は、事実としての死を表す言葉であり、敬語としての要素は含まれません。
「死去」は、文字通り 「死んで去ること」を指す客観的な表現です。敬語ではないため、自分自身の身内(ご家族・ご親族)が亡くなったことを他人に伝える際に「謙譲のニュアンス」を含めて使用します。
・自分の身内が亡くなったとき:「昨日、父が死去いたしました」
・自社の社員が亡くなったことを外部に伝えるとき: 「弊社社長の○○は、かねてより療養中のところ去る○月○日に死去いたしました」
「死去」という言葉は非常に直接的で、冷たく感じられることもあります。そのため、自分の身内のことではあっても、より柔らかい表現 (婉曲表現)を用いるのが一般的です。
・永眠(えいみん): 永遠に眠りにつくこと。最も一般的で温かみのある表現。
・他界(たかい): 別の世界へ行くこと。
・不帰の客となる(ふきのかくとなる): 二度と帰ってこない旅に出ること。
相手の身内が亡くなった際に「お父様が死去されたそうで・・・・・・」と言うのは非常に失礼です。必ず「ご逝去」と言い換えましょう。
訃報は時と場所を選ばず届きます。まずは取り急ぎの返信が必要ですが、その際に守るべきマナーを解説します。
電話での訃報は、近親者や非常に親しい間柄から届くことが多いです。この時、最も大切なのは「長電話をしないこと」です。
・対応のポイント: ご遺族様はご葬儀の手配や親戚への連絡で、1分1秒を争うほど忙しい状況にあります。お悔やみを伝えたら、「何かお手伝いできることはないか」と一言添え、すぐに切りましょう。
・文例: 「この度は・・・・・・本当に突然のことで、驚いて言葉もありません。心よりお悔やみ申し上げます。さぞやお力落としのことと拝察いたします。今は大変な時でしょうから、私に何かお手伝いできることがあれば、いつでもご連絡くださいね。取り急ぎ、失礼いたします。」
近年ではビジネスシーンを中心にメールでの訃報が増えています。メールで返信する場合の最大のメリットは、ご遺族様の手を止めずに弔意を届けられる点にあります。
1.件名は簡潔に: 「【お悔やみ】 ○○ (氏名)より」とし、ご遺族様が後で確認しやすいようにします。
2.忌み言葉を避ける: 「たびたび」「重ね重ね」などの重ね言葉は、不幸が重なることを連想させるため厳禁です。
3.返信不要の一言を添える:「ご返信には及びません」と添えるのが、最大の配慮です。
ご葬儀の場や対面でお悔やみを伝える際、私たちは緊張のあまり言葉に詰まってしまうことがあります。しかし、気の利いたことを言おうとする必要はありません。短く、誠実な言葉が一番です。
「この度はご愁傷様でございます。○○様には以前お会いした際、大変親切にしていただいたことが昨日のことのように思い出されます。心よりご冥福をお祈りいたします。」
「この度は、ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。○○様には公私ともに多大なるご指導をいただきました。残念でなりません。謹んで哀悼の意を表します。」
「この度は、誠に残念なこととなりました。ご両親様 (ご家族様)のお悲しみはいかばかりかとお察しいたします。心よりお悔やみ申し上げます。」
最近では、LINE SNS (Facebook Instagram など)で訃報を知り、メッセージを送る場面も増えています。これについては賛否両論ありますが、現代的なマナーとして以下の点に注意しましょう。
・距離感を考える: 普段からLINEでやり取りしている仲であれば問題ありませんが、目上の方や儀礼的な関係の場合は、後日正式なお手紙 (悔やみ状)を送るか、弔電を打つのが無難です。
・スタンプは避ける: いくら悲しみの表情のスタンプであっても、弔事においてキャラクターやイラストを使うのは軽率な印象を与えます。テキストのみで送りましょう。
言葉の使い分け (逝去・死去)だけでなく、ご葬儀の場で絶対にしてはいけないことがいくつかあります。
・重ね言葉: 「ますます」 「いよいよ」 「わざわざ」。
・直接的な表現:「死ぬ」「急死」。これらは「ご逝去」「突然のこと」と言い換えます。
・生死に関する言葉:「生きている時」→「ご生前」、「元気な時」→「ご壮健であられた頃」。
「死因は何だったのですか?」 「いつから具合が悪かったのですか?」 といった問いかけは、ご遺族様にとって最も辛い質問です。たとえ親しくても、ご遺族様から話し出さない限り、こちらから病状や状況を尋ねることはマナー違反です。
「逝去」と「死去」の違いを理解し、正しく使い分けることは、社会人としての基礎教養です。しかし、ご葬儀という究極の別れの場において、本当に大切なのは言葉の正確さだけではありません。
言葉に詰まり、涙を流し、深々と頭を下げる。その「あなたの立ち振る舞い」そのものが、何よりも雄弁に弔意を語ります。
もし「逝去」か「死去」で迷ってしまったら、あるいは適切な言葉が見つからなかったら、「この度は、誠にご愁傷様でございます。お悔やみ申し上げます」 この一言を、心を込めて伝えてください。この言葉はどの宗教、どの立場、どの場面でも使える、ご遺族様に最も寄り添う魔法の言葉です。
大切な人を亡くしたご遺族様は、暗闇の中にいます。あなたの正しいマナーと温かい言葉が、その暗闇を照らす小さな灯火となることを願っています。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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