
公開日2021/08/10|最終更新日2021/08/10
よくご葬儀や法事・法要で「南無阿弥陀仏」と称えたり、お墓に「南無阿弥陀仏」と彫ってあるのを見聞きしたことある方は多いと思いますが、「南無阿弥陀仏」とはどのような意味なのでしょうか。また、「南無阿弥陀仏」と称えることにはどのような意味があるのでしょうか。
そこで今回は、南無阿弥陀仏の意味や南無妙法蓮華経との違いなどについてご紹介します。
仏教は、インドのお釈迦様(ブッダあるいはガウタマ・シッダールタ)が悟りを開くことから始まりました。お釈迦様から伝えられた教えを弟子たちが再編したものがお経ですが、そこで使用されたのが、古代インドの言語であるサンスクリット語になります。
南無阿弥陀仏の意味は、サンスクリット語の意味を見ることで分かりやすくなります。南無はサンスクリット語で「私は帰依します」という意味で、阿弥陀は「無量の命、果てのない光」を表し、2つを合わせると「私たちにははかり知ることができない」という意味となります。また、仏はサンスクリット語で「悟りを開いた者」つまり「仏様」を指し、南無阿弥陀仏とは「私たちにははかり知ることができない、悟りを開いた者(仏様)に帰依します」という意味となります。より分かりやすく言うと「私たちは悟りを開いた者(仏様)にすがって全てをお任せします。私たちは悟りを開いた者(仏様)に心から従います」といった誓いの言葉になるとされています。
南無阿弥陀仏と同様によく見聞きすることがあるのが、「南無妙法蓮華経」ではないでしょうか。南無妙法蓮華経と南無阿弥陀仏の違いは明確で、宗派が違います。以下では、南無阿弥陀仏を称える浄土宗と南無妙法蓮華経を称える日蓮宗を例にそれぞれの違いについて見ていきたいと思います。
南無阿弥陀仏を称える浄土宗は、平安時代の終わり頃に法然上人によって開かれました。日本に伝わった当初の仏教では、苦しい修行をくぐり抜けた優れた方でないと救えないとされていました。そのため、仏教は一般大衆のものではなく、世の中が乱れて不安がはびこる中でありながらも仏様に救いを求められませんでした。
そこで法然上人が、「南無阿弥陀仏と称えるだけでよい。称えることで阿弥陀仏によって救われる」と説かれました。その後、法然上人の弟子であり浄土真宗を開いた親鸞聖人は、「南無阿弥陀仏を称えることで救われるのではなく、阿弥陀仏の力によって救われる」という“絶対他力”を説きました。
なお、南無阿弥陀仏を称える際の考え方に違いはあるものの、浄土宗でも浄土真宗でも共通しているのは、南無阿弥陀仏は阿弥陀仏への感謝を称えるということになります。
南無妙法蓮華経は日蓮宗で称えられます。鎌倉時代、日蓮上人が比叡山での修行を通して「法華経」が世の中を救うことを悟りました。
「法華経」とはすべてのお経が含まれており、お釈迦様の本当の心が表されているお経であるとされています。南無は同様にサンスクリット語で「私は帰依します」を意味し、妙法蓮華経は「全ての生き物を救い、仏様のところまで導くこと」を目的とした法華経の教えになります。これらのことから、「法華経の教えに帰依する」という意味から、「私はお釈迦様の功徳が全て備わっている法華経の教えを信じ、従います」という意味になります。
普段見聞きすることでも、意外とその意味を知らないことも多いものです。「南無阿弥陀仏」という言葉ではないでしょうか。ご葬儀や法事・法要といった厳かな儀式で失礼があってはいけません。故人様にも、遺されたご遺族に不快な思いをさせないためにも、意味をおさえておきましょう。
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