2023-04-07
身近なご不幸は、いつ訪れるか分からないものなので、ご葬儀を執り行うことになった際に、宗派が分からず慌ててしまうこともあるでしょう。将来ご葬儀に携わる可能性があるのならば、事前に宗派を調べておいて損はありません。今回は、宗派の調べ方について詳しく解説しますので、ご葬儀を滞りなく執り行えるよう、事前にチェックしておくようにしましょう。
宗派とは、1つの宗教から派生した分派のことを指します。仏教においては、飛鳥時代に日本へ伝来して以降、歴史的な背景や文化の発展に伴い、徐々に宗派を増やしていきました。現在では、主に13の宗派があるといわれています。
同じ仏教であっても、宗派が変われば教義・信仰対象・ご葬儀の作法などが異なります。家の宗派が分からない場合は、以下の方法で確認しましょう。
・親戚に聞く
・菩提寺に聞く
・仏壇の違いから見分ける
・お墓の違いから見分ける
なお、宗派については以下の記事でも解説していますので、こちらも併せてチェックしてみてください。
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続きを読む仏教の宗派は、先祖代々同じ宗派を信仰していく制度です。そのため、親族であれば家の宗派を把握している可能性があります。婚姻した際には、基本的に夫側の宗教に帰依するため、確認する場合は父方の親族へ聞いてみましょう。
菩提寺の連絡先を把握している場合は、直接聞いて確認しましょう。菩提寺とは、代々付き合いのある寺院のことです。ご葬儀や追善供養を執り行う際には必ずお世話になるため、挨拶がてら確認してみると良いでしょう。
仏壇は、宗派によって祀られている御本尊などが異なります。そのため、仏壇を確認すれば、ある程度宗派を予想できます。
宗派 | 御本尊 | 脇侍(御本尊の両脇に配置されている) |
---|---|---|
天台宗 | 阿弥陀如来(坐像) | 右:天台大師智顗 左:伝教大師最澄 |
真言宗 | 大日如来 | 右:弘法大師 左:不動明王 |
浄土宗 | 阿弥陀如来(立像) | 右:善導大師 左:法然上人 |
浄土真宗本願寺派 | 阿弥陀如来(仏像ではなく掛け軸の場合が多い) | 右:親鸞聖人 左:蓮如上人 |
真宗大谷派 | 阿弥陀如来(後光のうち、6本が頭から発生している) | 右:親鸞聖人 左:蓮如上人 |
臨済宗・曹洞宗 | 釈迦如来(坐像) | 右:承陽大師道元 左:常済大師瑩山 |
日蓮宗 | 大曼荼羅 | 右:大黒天 左:鬼子母神 (関西の場合は左右が逆) |
お墓は、宗教による違いがありません。しかし、墓石に彫られている内容から宗派が特定できる可能性があります。
宗派 | 竿石(お墓の一番上にのっている石)の特徴 |
---|---|
天台宗 | 阿弥陀如来を表す梵字が彫られている |
真言宗 | ・大日如来を表す梵字が彫られているか、「南無大師遍照金剛」と彫られている |
浄土宗 | ・阿弥陀如来を表す梵字が彫られているか、「南無阿弥陀仏」と彫られている ※戒名に「誉」の文字がある場合は、高確率で浄土宗となる |
浄土真宗本願寺派・大谷派 | 「南無阿弥陀仏」または「倶会一処」と彫られている ※戒名に「釈」の文字がある場合は、高確率で浄土真宗となる |
臨済宗・曹洞宗 | 「○」のような記号、または「空」「南無釈迦牟尼仏」などと彫られている場合もある |
日蓮宗 | 「妙法」または「南妙法蓮華経」と彫られている ※戒名に「日」の文字がある場合は、高確率で日蓮宗となる |
どうしても宗派が分からないままご葬儀のタイミングになってしまった際は、以下の方法でご葬儀を執り行いましょう。
・故人様の希望に合わせる
・新たに宗派を決める
・無宗教でご葬儀を執り行う
故人様が生前から希望されている形式がある場合は、意向に沿うのもひとつの方法です。日本では宗教の自由が許されているため、家とは違う宗派でご葬儀を執り行っても問題はありません。
また、故人様の意向がない場合は、新たに宗派を決めるのも良いでしょう。仏教の宗派は、それぞれ教義や作法が異なります。自分たちが帰依したいと思う宗派を選ぶのもおすすめです。
なお、特定の宗派に入る意向がなければ、無宗教でもご葬儀は執り行えます。無宗教の場合、読経や焼香といった仏教特有の儀式はありません。代わりに、故人様の経歴紹介などがあります。近年は無宗教の家も多くなり、対応できるようプランを用意している葬儀社も増えてきましたので、検討してみるのもひとつの手です。
どこの宗派に所属しているのかといった情報は、ご葬儀を執り行う際に必要となります。いざというときに慌てないようにするためにも、親族・菩提寺に連絡し、事前に宗派を確認しておくようにしましょう。
どうしても分からない場合は、故人様の意向に従う、新たな宗派に入る、無宗教でご葬儀を執り行うといった方法があります。どのようなパターンにおいても悔いのないご葬儀が執り行えるよう、ご家族同士でしっかりと話し合うようにしてください。
60年の歴史と実績のあるセレモニーのご葬儀専門ディレクターが監修。喪主様、ご葬家様目線、ご会葬者様目線から分かりやすくのご葬儀のマナー知識をお伝えします。
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