2025-05-09
死亡通知状とはその名の通り、ご遺族やご親族が、故人様と生前お付き合いがあった方々に向けて送る訃報の書類です。本記事では、死亡通知状をお送りするタイミングや内容、文例、注意点などを解説いたします。
死亡通知状とは、故人様が生前関係していた方々に対して送る書面のことです。故人様が死亡したことに加え、生前お世話になったことへのお礼をしたためます。
死亡通知状は「訃報はがき」とも呼ばれており、喪主が差出人となるのが一般的です。その際は、故人様の氏名、年齢、ご葬儀会場の場所や日程なども内容に含めます。ご葬儀後に死亡通知状を送る場合は、故人様の訃報やお礼の挨拶に加え、ご葬儀を滞りなく終えたことも記載しましょう。
死亡通知状に似ている通知方法に、「喪中はがき」があります。喪中はがきも死亡通知状と同じく、故人様の死や生前のお礼を伝える内容ではあるものの、投函時期が11月中旬~12月初旬までとされています。
喪中はがきは、一年以内にご家族が亡くなった喪中期間であることを伝え、相手の方が年賀状を準備する前に年賀状を辞退する旨を伝えることが一番の目的です。記載されている内容は似ていても、故人様の死を伝える目的の死亡通知状と、年賀状を遠慮する目的の喪中はがきとでは、用途が異なることを覚えておきましょう。
訃報のお知らせには、電話かメールの手段を使うのが一般的ですが、いずれも不明で住所のみ分かっている場合には、死亡通知状を送る必要があります。お送りするタイミングは、ご葬儀前・ご葬儀後のどちらでも構いません。
もしご葬儀の参列をお願いする場合は、故人様が他界後すぐに死亡通知状を送りましょう。家族葬や直葬など、ご遺族だけでご葬儀を済ませた場合は、初七日頃を目安に死亡通知状を送ります。なるべく早い段階で送るのが好ましいですが、遅くとも四十九日までには到着するように送ります。
死亡通知状には、以下の内容を書いてお送りします。はがきの場合は、縦書きで記載するのが一般的ですが、社葬などを知らせる手紙形式の文書は、横書きで記載する場合もあります。
・喪主との続柄、故人様のフルネーム
故人様のフルネームの下には「儀」と付けます。儀とは「~に関する」という意味の謙譲表現です。
・死亡した日付、年齢、死亡した旨
故人様の死は「永眠」「他界」「死去」のいずれかで表記しましょう。急死された場合は、急逝(きゅうせい)と表記します。なお、数字は全て漢数字で書きます。
【日付の記載例】
令和七年 四月 五日
・ご葬儀に関する情報、または連絡が遅れたお詫びとご葬儀終了の報告
参列をお願いする場合はご葬儀会場の場所、日程、宗派を記します。ご葬儀が済んだ後に報告する場合は、連絡が遅れたお詫び、ご葬儀を滞りなく終えた旨を記載します。
・但し書き、故人様がお世話になったことに関するお礼
香典やお供え物、供花を辞退する場合は、その旨を記載してから生前お世話になったお礼を書き添えます。特に辞退を考えていない場合は、お礼だけで構いません。
・死亡通知状が投函された年月、喪主の住所、喪主のフルネーム
年月は、他の内容より少し低い位置に記載します。喪主の住所と名前は、さらに低い左下の位置へ記載し、住所の数字は漢数字を用いましょう。
【住所の記載例】
令和七年四月 〒123-4567 ○○県○○市○○町○○五-三-二 TEL 〇七(一二三四)五六七八 鈴木太郎(フルネーム)
ここからは、死亡通知状の文例を記載していきます。ご葬儀前の一般的な文例、ご葬儀後に送る友人知人向けの文例、仕事関係の方宛ての文例をご紹介します。
親しい方やご親戚の場合、電話やSNSでお知らせすることが多いです。ただし、連絡が付かない場合はすぐに死亡通知状を送る必要があります。故人様が勤めていた会社関係の方や社葬時にも、死亡通知状を送るケースが多いです。
父 〇〇儀 かねてより入院療養中でありましたところ
去る令和〇年〇月〇日 〇〇歳にて他界いたしました
ここに生前のご厚誼に感謝し 謹んで御礼申し上げます
なお葬儀告別式は仏式において 下記の通り執り行います
故 〇〇儀 通夜・葬儀告別式
通夜式 令和〇年〇月〇日 〇時から
葬儀告別式 令和〇年〇月〇日 〇時から
場所 〇〇斎場
住所 〇〇県〇〇市〇〇
電話番号 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
住所 〇〇県〇〇市〇〇区〇〇
電話番号 〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇
喪主 〇〇〇〇
家族葬や直葬を選択した場合は、電話やメール、死亡通知状などを使い、ご縁のあった方々に故人様が亡くなったことをお知らせする必要があります。
父 〇〇儀 天寿を全ういたし 去る〇月〇日 〇〇歳の生涯を閉じました
本来ならばすぐにお知らせすべきところでございましたが
深い哀しみのうちにご通知が遅れましたことをお赦しください
葬儀は故人の遺志により 〇月〇日 近親者のみにて相営みました
なお 誠に勝手ではございますが 自宅への焼香 並びに香典 供物 弔電のご厚志はご遠慮いただき 墓前での焼香をお願い申し上げます
ここに生前中賜りましたご厚誼に心より御礼申し上げます
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇区〇〇
喪主 〇〇〇〇(フルネーム)
死亡通知状は、会社関係の方や取引先の方など、気軽に電話やSNSでお伝えするのが難しい方にお送りすることも多いです。
夫 〇〇〇〇儀 かねてより病気療養中のところ
薬石効なく 〇月〇日 〇〇歳にて急逝いたしました
早速お知らせ申し上げるべきところでございましたが
ご通知が遅れましたことを深くお詫び申し上げます
葬儀は〇月〇日近親者のみにて執り行いました
また 誠に勝手ではございますが
弔問 香典 供物のご厚志につきましてもご辞退申し上げます
故人が生前賜りましたご厚誼につきまして深謝申し上げます
本来ならば直接ご挨拶申し上げるべきところ 恐縮ではございますが略儀ながら書中をもってお知らせいたします
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇区〇〇
喪主 〇〇〇〇(フルネーム)
ここからは、死亡通知状を書く際の注意点と、送るときのマナーについてお伝えしていきます。くれぐれも、お送りする相手の方に失礼のないように注意しましょう。
死亡通知状の文章に、時候の挨拶、句読点を付けるのは控えましょう。投函年月と喪主の情報以外の文章は、行頭をそろえて記載します。
「逝去」は他人の死を敬った言い回しなので、ご家族の方が亡くなったときには用いません。その場合は、「永眠」「他界」「死去」「生涯を閉じた」と書くのが無難です。加えて、死亡通知状では、忌み言葉や重ね言葉など、縁起の悪い言葉は使用しないようにしましょう。
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香典は、参列するときに用意するのが一般的であるため、辞退する場合はその旨を事前にお伝えしなければなりません。その際、死亡 通知状には、香典を辞退する旨を必ず記載しましょう。
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